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□バジリスク〜序章〜
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序章「虚空に惑う」
…ピアノ?
しかもここまで美しい連弾聞いたことがない…
……そうまるで……………
「私を喚んでいるのか?」
虚空の暗闇に佇む独りの美しい少女…伏せ目がちだが硝子玉のように美しい瞳…透き通るように白い肌…細い顎…すらりとした身体は女性ではかなり背が高いほうでその身を包む古風でドレスのようなツーピース…その背中に垂らされた絹のベールのような白に近い少し碧みがかった髪…その容姿からして少女は綺麗に装飾された人形のよう…少女は思った…………………………私は苦しい
私は愛しい
私は寂しい…
もう疲れたのだ…
愛しい人を思いながら長い月日この真っ暗な虚空の世界で生き続けるのも…
「…誰か…誰でもいい… 私を 私を此処から連れ出して…」
暗闇に少女の美しく哀しみに満ちた声がこだまする…
しかし
その声を聞く者はいなかった…