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□GS2
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「冬にコタツ入ってアイス食べるのって贅沢だよね。」
突然そんな事を言い出した小波に、オレは戸惑いの眼差しを向ける。
何しろ今は真夏。部屋の中は扇風機で乗り切るのも限界な暑さ。
しかしクーラー嫌いのこいつのために、流れる汗の不快さも我慢している状態のオレに、コタツに入ってなんて言われたらそれだけで辛い。
「……それがなんだ?」
「じゃあその反対はなにかなーって。」
「……反対?」
「夏にクーラーかけてー……おでん?とか?」
実際にクーラーかけてるならともかく、このうだるような暑さの中でよくそんなこと考えられるな。
オレは噴き出す汗をタオルでぬぐって、かわいく首を傾げる彼女に尊敬の眼差しで答えた。
「寒いところで温かいものだろ……」
ダメだ。考えるだけで汗が止まらない。
どうしてもオレに答えさせたいなら、頼むからクーラーを入れさせてくれ……なんて言ったら、絶対むくれるから言わねぇけど。
スポーツマンは身体冷やしちゃいけないんだよー、なんて、機嫌が悪くなるのは目に見えてる。
「私だったら勝己くんにぎゅーってしてもらうのが、一番暖かいんだけどなぁ。」
……ヤバイ。
暑さのせいで幻聴が聞こえ出した。
コイツがこんな大胆なこと言うわけ……
「あ、でも食べられないからダメだね。」
能天気な笑顔。
「…………。」
オレは無言でエアコンのリモコンを手にとった。
冬アイス
A.夏にはエアコンきかせておまえを。