ときめきバグりある!1st trip

□5・絶対白いトコしか踏まないポリシー!!
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「志波くん……」
 膝立ちで志波くんの肩を揺すって声をかけると、身体がびくりとしてうっすらと目が開いた。
「ね、ベッドで寝よ?」
「…………ん」
 いつ閉じてもおかしくない重たそうなまぶたの志波くんは、呻くように返事をしてわたしの言葉にうなづく。
 うなづくというより眠たくて首がかくんってなった感じ。

「……いや、寝ない。」
 そんな極限状態なのに、なぜだか志波くんは眠たい目をガシガシこすりながら、必死に意識を保とうとしている。

「そんなに眠そうなのに、なに意地はってるの。」
 立ち上がって腕を引っぱってみても、さすがにびくともしないでまるで睨むような目で見られた。
「………。」
 でも目がしょぼしょぼしてるから迫力ないんだけど。むしろぐずってる子供みたいでカワイイ。
 ……あ、もしかして、仲間外れにされてるみたいで嫌なのかな?
 そういやわたしも子供のとき、親戚の集まりなんかで盛り上がってるのに寝かされるの、つまんなくて不満だったっけ。

「じゃ、ソファでもいいから横になりなよ。」
「…………。」
 まあこの様子じゃ横になった瞬間睡魔に完敗だろうけど。
「ほら、トレーニングで疲れてるんでしょ?身体に良くないよ?」
「…………。」
 いまにも寝そうなのは本人も自覚があるんだろう。頑として体勢を崩そうとはしない。
 ……意地っ張りめ。

「ほーらー!ちゃんと寝るの!」
「……っ!」
  体重をかけて両肩を押すと、ようやく志波くんの身体がぐらりと揺れて、ソファに倒れこむ。


 ……。
 って、あれ?


 どさっ

  ぼすっ

 ……あれれ?


「……志波くん顔真っ赤。」
「っあのなぁっ!」
 重なり合った身体の下で、志波くんが目が覚めたといった表情で珍しく怒鳴った。
「いやいや不可抗力だから。押し倒しちゃってごめんね?」
「……りある」
  あれれ?なんだか志波くんの声に怒りを抑えてる感があるのはなぜだろう。
  シバカツは絶対謝ったら許してくれる寛容な男なはずなのに。

「……退け。」
「……はい。」
「座れ。」
「はい。」
 迫力に押されたわたしは、志波くんに従っておとなしく床に座る。(もちろん正座)
 そしてゆっくりと身を起こした志波くんは、すう、と息を吸い込んで思いっきり怒鳴った。

「おまえはもっと危機意識を持て!!」

 身構えていたのに思わずビクッとしてしまうほどの大声に、ようやく現実に戻ってきた真咲先輩も、この状況に気付く。

「なんだなんだ勝己〜?おまえが女に怒鳴るなんて珍しいな。」
「元春は黙ってDVDでも観てろ!」
 あ、八つ当たり。すいません先輩……。
「いくら俺でもこの状況を見過ごして、DVDに熱中〜なんて出来るわけないだろ?」
 いやしてましたけど?さっきまで。

 どうやら志波くんは私が思ってる以上にお年頃らしい。冗談のつもりだったんけど、真咲先輩が私になにかするんじゃないかって本当に懸念してたんだ。

「いやでも志波くん?そんなに先輩ガツガツしてないと思うよ?」
「ん?俺?」
「いや、なんかいろいろ心配させちゃってるみたいで。」
「……りあるは隙がありすぎる。」
「なんだ、ムラッときてるのは勝己の方か。」
「…………」

 うわ、シバカツのマジ睨みハンパねぇ怖ぇ。
 しかし先輩は慣れているのか気の抜けた笑顔でわははーと流す。

「いやいやでもりあるもマジで、ちょっと男ナメてるかもしんねぇな?」
「う」
 真咲先輩にまで説教モードになられて、思わずわたしは口ごもる。

 確かにいくらゲームの中の二人を知ってるからと言って、わたしがデイジーじゃない以上、どう扱われるか分からないって言うのはホントなんだよね。
 実際二人にとってのわたしは、ほんの数時間前にあったばかりの人間で、ひょっとしたらひょいひょい男について行くタイプだと思われてるのかもしれない。
 でもそれは志波くんが強引に連れてきたんじゃんとか思わなくもないけど、真咲ハウスに向かってるって分かった途端、ノリノリでついて来ちゃったもんなぁ。


「……でも二人とも何もしないでしょ?」
 微かな不安はあるものの、でもこの二人が志波 勝己と真咲 元春である以上、それは絶対で。

「…………」
「…………」
 二人はなんとも言えない表情で顔を見合わせる。


 それは、絶対じゃなきゃいけないことで。



「……おまえと兄弟なんて絶対嫌だ。」
「まあさすがに勝己くんの筆下ろしでソレはナシだな。」


 今の間は本気で心臓に悪い。

 確かにそういう妄想は全然アリだけど、それが現実となると結構怖いしな。
 わたしがデイジーならいざ知らず、さすがにこの子たちにそんないい加減なマネはして欲しくないし。


「それにりあるもそんなに経験はないんだろう?」
「ふぇっ!?」
 さらりと言い当てられて、思わず妙な声を出しながら志波くんを見る。
 ええ!?見た目でわかるくらい色気ないって事?

「……会ったとき口走ってた。」
「え!?嘘!」
「どうせなら全員のチェリー食うとか」
「へぇ……それはそれは、おねーさん豪気だねぇ?」
「ヒドイ!志波くんがチェリーだっていうのスルーしてあげたのに!」
 そう言われてみれば、あの時は錯乱して夢オチだと思って、いろんなことが口からダダ漏れてた気がする。
 あの時志波くん何も言わなかったから、気のせいだと思って忘れてたのに!
「……なんなら食うか?」
 今更むし返すとかなんか性格わるい……

 って


「はぁ!?なに言って……っむぅ!?」


 今なんかとんでもない発言が……とか気付くよりも早く、素早くかがみこんだ志波くんの、覆いかぶさるような威圧的なキスに唇を塞がれた。


「……やっぱり、さすがに我慢できないだろうと思ったんだよな。」
「引っ込んでろ元春。」
「!!」

 ゲームと変わらない真咲先輩と志波くんのやりとり。
 なのになんで、わたしは志波くんに押し倒されて……


「ちょ……っ!」
口内に滑りこむぬるりとした感触に背中が粟立ち、思考が遮られてしまう。
「ふ……っ」
粘膜に触れるそれに反射的に舌を絡めると、志波くんがとてつもなく色っぽい吐息を吐いた。
息だけじゃない、妖しげに霞がかった瞳も、リアルな重みをもって重なる筋肉質な身体も、わたしの肌を滑るひんやりとした骨っぽい大きな掌も……

「りある……」
 トドメの中井ボイスも!
 すべてがヤバ過ぎるほど煽られる!!



 って違う!そういうことじゃなくて!
 流されてる場合じゃないのよりある!
 認めたくなかろうが訳がわかんなかろうが、ここはときメモの世界なんだってば!!(どさくさ紛れてついに言った!)
 故にこんなの絶対間違ってる!!


「いい加減にしなさーーーーーい!!」


 その間にも進められていく行為にあわてて全力で抵抗すると、身体はびくともしなかったものの、さすがにこの至近距離での大声は辛かったらしく、思いっきり眉を寄せて睨まれた。

「いやいや睨みたいのはこっちだから!いいからさっさと退きなさいよ重たいし!」
「……うるせぇ。」
「うるさくもなります!っていうか君は一体何やってんのよ!?」
「りあるを襲ってる。」
「それは言わなくても分かります!!そうじゃなくて、なに会ったばっかの好きでもない女を無理やり押し倒したりしてんのよ!?なんで初チューでいきなり舌入れてんの!?
 ありえないの!ありえないから!ときめきは3年間の半分以上は棒に振ってまでプラトニック貫くのが絶対条件なんだから!!」
「………。」
「あっコラ!服を脱がすな!暴行を継続するなぁ!!」
「何言ってんのか分からねぇ。」

 ああ……もしかしてこれは罰!?
 その大原則で絶対条件に、ついついイラッときてお触りシステムなんて追加しちゃったから、ときめきの神様がお怒りになって……!!


「んじゃまぁ俺はテキトーに時間潰して来っから、壊さない程度に頑張んなさい。」
「兄貴ぶって出て行こうとしないで止めなさいよ!!つか壊すとか言うな!不安になるわ!!」
「でもホラ、やっぱ初体験とかは大事にしたいだろうし。幼馴染が見てる前でってのはサスガになぁ?」
「止めろって言ってんでしょ美学語ってないで人の話聞けよ!!」
「んじゃそゆことで。」
「真咲コルァーーーーーーーッッ!!」


 兄貴モードを志波くんに対してだけ発動した真咲先輩は、乙女の危機をあっさり見捨てて靴を履きだす。
 その隙に志波くんは私の両手をがっちり片手で抑えたまま、服の裾を口でくわえて持ち上げ、肌を露出させていく。

「っひゃぁっ!」
 容赦なくブラの中に滑りこむごつごつした手の感触に、おもわず身体がびくりと跳ねて
「……ずいぶん敏感なんだな?」
 くつくつと笑みを零しながら低音で囁かれて、それだけで感じてしまう自分が情けない。

「こんな……こと」
「誘ったのはおまえだろ?」
 見下すような瞳で見られて、身体がカァッと熱くなった。


 がちゃり、とドアノブの回る音。
 ああ、もう本気で見捨てる気なんだあの花屋。
 ああもう。
 なんなんだよコイツラは?


「……アンタなんて志波じゃない。」
「………どういう意味だよ……」
「だってそうでしょ!?百歩譲ってわたしが誘ったんだとしても!!」



 悔しくて。

 大事な人たちがいなくなってしまったみたいで悲しくて。

 わたしは零れそうになる涙を懸命に堪えて、目の前の志波もどきを睨みつけた。




「アンタが志波なら、そうやって挑発に乗って大事な物失くしたの忘れるハズないっっ!!」












☆☆☆……ええと。中途半端でスイマセン!
需要があるかどうかはわかりませんが、もうちょっとガッツリ書くつもりだったのですが……
志波に愛のないエッチをさせたくないなぁって思って断念しました☆
この展開マジ勘弁ならねぇ!!って方もそろそろおいでかと思うのですが、コレには深い事情と言うか、話の大筋のネタがありますので、どうぞ怒らないで続きを待ってやってください!
しかしどんどんのろくなっていく筆速度……
ホント言うと狂犬志波もガッツキ志波も教室エッチも大好物です!!☆☆☆


      
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