ときめきバグりある!1st trip

□4・近所に住んでたって会うの久しぶりだってこと、結構ざら。
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「なんだ、そういうことなら早く言やいいのに。」
「……おまえが言わせなかったんだろ。」
「昔っからおまえは、捨て猫やら捨て犬やらにやたら懐かれて、しょっちゅう拾って来てたけど……あ、そういや1回コウモリぶら下げて帰ってきたこともあったっけな。」
「ああ……。結構可愛かったな、アイツ。」
「そうそう!目なんてくりくりーっとしててなー。ありゃ意外だった。」

 ただの思い出話になってますけど、一応黙って聞いてた方がいいのかなわたし。
 だって初対面の人がお金借りに来てるんだもんねぇ……。


「いやでも志波くんが心配してくれるのは、物凄くウルトラハイパー嬉しいんだけど、ここで真咲先輩に宿泊費を借りたところで返す当てもないんだよね。
 いくらなんでもそこまで図々しいこと頼めないし、気にせず寒空の下に追い出してもらって構わないんだけど。」
「うわ。すげぇ断りにくいなソレ。」
「いやいやホントに大丈夫だと思わなくもないし。」
「気にするなって言われても、俺の後味が悪い。黙って借りとけ。」
「え?いや勝己クン?それって俺が貸すんだよね?なんでおまえが男前なんだ?」


 困ったな。
 わたしは志波くんと真咲先輩の顔を交互に見て、申し訳ない気分になる。

 体育会系でアニキ肌の志波くんと、好きな子に手も出せない程先輩意識の強い真咲……。
 見つかった相手が悪かったというか良かったというか。

 でも確かにここまで来たら、なんていう現象にせよ、自分の身に実際起きてることだと認めざるをえない。
 そしてこの真咲ハウスみたいに、ゲームの設定うんぬんで済まされないこともあるらしい。
 ゲームの中だから安全、なんて言い切れないんだ。


「でもホント返せないかったらヤダし……」
「だったら俺がバイト紹介するってのはどーだ?」


 眉間に皺を刻んで固辞すると、真咲先輩がぽんと手を打った。


「そしたら金返す当てもできて、気がねなく借りれるだろ?」
「そりゃそうしてもらえると助かりますけど……わたし、身分証明とか持ってないですよ?バイトの面接とかってそういうの要りますよね?」
 いや、現実世界のはあるけど、ここではわたしって一応存在してない人な訳で。
 確認するように先輩を見ると、あのホッとするような笑顔を見せてくれた。
「んなのだいじょーぶだって。俺のバイト先なら俺の紹介ってことで顔パス。」
「真咲先輩のバイト先って……」

 それってやっぱ

「アンネリーっていう花屋な。」
「喜んで!!」

 マジで!?マジでアンネリーで働けちゃいますか!!
 いやいや!GS1のアンネリーで有沢さんと友情を育みまくったことは青春の過ち(あれ?過ち?)ですよ!
 うわぁなんだかテンション上がるぅ!


「決まりだな。」
「うん!ありがとう志波くん!」
「いや。」
「……だから、貸すのは俺なんですけどー」
「真咲先輩、ありがとうございます!」
「おう。ちょーっと待ってろな。」

 真咲先輩はそう言って立ち上がると、部屋の隅の方に置かれていた鞄の方へ歩き出す。
 そういや立ち絵ではみんな鞄とか持ってないけど、そりゃ要るよね…とか考えながら先輩を見守っていると



「あ」



 財布をのぞいた真咲先輩の大きな背中が、ぴたりと動きを止めた。



「悪りぃ。そういや今日コレ買ったら金無くなったんだったわ。」
 そう言って指差したのは、やたら豪華なDVDのBOXセット。
 内容は言うまでもなくホラーでスプラッタな代物。

「……元春。」
「いやぁ……ゴメンなりある。」
「いえ……大丈夫です。」

 とはいえ、もともと頼ろうと思ってたわけじゃなくても、一度期待しただけに落胆は大きい。

「あ!だったらウチ泊まるか?なんだったら夜通しDVD鑑賞会でもどーだ?」
「あ、それいいかも。」
「ちょっと待て!」

 真咲先輩のナイスな提案に賛同すると、志波くんがあわてて止めに来た。

「ん?なんだ、勝己?」
「なんだじゃないだろう!そんな危険な事させられるか!」
「危険?なんで?」
「っ!なんでってそりゃ」
「あ、もしかしてエッチなこと考えてるのかー?」
「志波くんやらし〜。」
「…………帰る。」
「冗談だってゴメンって!」

 ちょっとからかっただけだったんだけど、頬を赤く染めた志波くんは憮然として立ち上がる。
 あわてて謝りながら腕を引っぱると、びくっとして動きを止めた。
 ……シャイ。とか言ったらまた怒るだろうから言わないけど。

「そんな心配しなくても大丈夫だよ……多分。」
「多分って……まあ初対面でこれだけ信頼してもらえて光栄です。あ、なんなら勝己も泊まってけば?」
「……その方が危ないだろ。」

 ぼそ、とつぶやかれた言葉は聞かなかったことにしよう。



 そうして、はばたき市最初の夜は、志波くんと一緒に真咲ハウスでお泊まり……という、なんともドキドキな展開に落ち着いたのだった。

 続くっ!









☆☆あとがき

ときバグ、久しぶりの更新です!ここんとこ筆が進まず瑛長もときパロも書けナイこと書けナイこと・・・・・。
しかも志波誕企画に参加してたら、かなり志波長が書きたくなってしまいました!
いやこれ以上増やした所で回らないのは分かりきってるから今はしませんがね。

にしても、志波とお泊まり!憧れの真咲ハウス!
鼻血出るほどドッキドキではありますが、一応全年齢・微エロ止まりサイトですのでそこは期待しないで下さいね(汗)

次は誰が出るのかな〜?(このままいけば有沢さんですが)続きます!

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