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□はば学冬の陣!
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「聞こえたよ?ヒーローだから。」

 私の問いに、ルカは表情の読めない微笑みを浮かべる。




「そんなはずないよ。」

 だって、心の中の声が聞こえるわけなんてない。

 いくらルカが現実離れした雰囲気を持ってても、なに考えてるかわかんなくても

 ルカは普通の高校生だもの。


 私がそう言うと、ルカは少し驚いたみたいに目を瞬く。


「ルカは、ルカだもの。」

 なんだかそれが悲しくて言葉を重ねると、ルカがふわりと笑う。





「……冷えちゃったな。」

 温度の低い私の手を握って、ルカが呟く。抑揚のない、だけどとても優しい声。

「ん……平気だよ?」

 私の手も冷たいけど、手袋に包まれてたはずのルカの手も同じように冷たい。

 少しでも温度を上げたくて、私の手を包むルカの手に、もう片方の手を重ねた。

「……俺の手、冷たい?」

「うん。」

 ためらいもせずに頷くと、私の髪をくすぐるルカの苦笑。

「じゃあ、あっためて?」

 私を引き寄せられる力に身を委ねながら、いいよ、と呟くように答えた。







 

 新たに降り積もる雪が、少しずつ戦いの痕跡を消して行く。

 グラウンドばかりでなく、校舎も、町並みも、目に映る全ての景色が白く覆われて。

 二人分の体温と、触れてない場所から奪われていく熱と。

 しんしんと降る雪の音すら聞こえてきそうな静けさと、肌を伝って響く二人分の鼓動。


 まったく違う人間である私とルカが対であるように、感じるもの全てが相反してるのに対で。

 寂しいのにあったかくて、切ないのに幸せで。

 とにかく、この時間が永遠に続けばいいのにって、心からそう思った。






「メモ子。」

「……ん?」

 不意にルカが私を呼んで、すごく近い場所で視線が交わる。

「……呼ばなくても」

「え?」

 儚いくらい綺麗なルカの瞳が、怖いくらいの光を宿して私を映す。


「オマエが呼ばなくても、助けにくるんだ。俺。」




 ああ、そうか。

 ようやく理解して、笑った。













 CALL ME … HERO  (ruka ED 1/2)





私たちはいい子じゃないから

したいことを、するだけだ。








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