「よし。これから作戦会議を始める!」
「ラジャー!」
「ラ、ラジャー!」
キリッと表情を引き締めた嵐さんの言葉に、ニーナがビシッと手を挙げて応じる。
ついでになんかやんなきゃいけない気がして、私も片手を挙げて続いた。
「っていうか、作戦会議ってなにするの?」
「先輩たちはおいといてー…。桜井兄弟はさすがに強敵っしょ?
そこに無計画に突っ込むってのはどうかと思いますよ、メモ子センパイ?」
首を傾げると、ニーナがたしなめるような言葉で、私の鼻をちょんとつついてくる。
「考えナシに突っ込んだりしないもん!」
思わず頬を膨らませると、かえって楽しそうな顔したニーナにほっぺまでつつかれた。
さらにむくれる私をよそに、腕組みした嵐さんは不敵な笑みを浮かべて遠くを見やると
「戦と名がつく以上、負けは許されない……。それが男ってもんだ。」
やたら男前なセリフを吐いた。非常に楽しそうです。
「そういうもんですか……。」
「そういうもんだ。メモ子、しっかりついてこい!」
薄々わかってはいたけど、雪合戦といえど遊びでは済まされないらしい。
「まず、問題は相手の出方だな。どう思う?」
「まあ、先輩たちは防御に徹する……何もせずに成り行き見守ってるでしょーね。」
確かにニーナの読みどおり、先輩たちがまともに勝負しに来るとは思えない。
頷いて賛同の意を示すと、ニーナが満足そうに瞳を細めた。
「それには俺も同意見だ。よって、とりあえず先輩たちは無視。いいな?」
「了解だ、大佐!」
「はーい。」
三角形の頂点の位置にそれぞれの陣地がある、正に三つ巴な戦いだ。
いくら人数が一人多いとは言え、戦力を割いて桜井兄弟に当たるのは良策じゃない。
「次に桜井兄弟の初動についてだが……メモ子、どう思う?」
「え、私?……そうだなぁ。あの二人のことだから、先手必勝!とかって突撃して来そう。」
今までの付き合いからして、遊びの時には常に全力。常に真剣勝負なルカとコウ。
コンビネーション……主にコウがルカをフォローすることはバッチリだし。
「それは間違いなさそうっすね。けど、オレらを狙うか先輩たちを狙うかはわかんねーかもー。」
「だな。全力で動けるうちに真っ向勝負を挑んでくるか、体力的に差のある先輩たちを先に潰すか……」
「んん、ルカとコウはケンカとかなら向こう見ずだけど、勝負ごとには打算的だからなぁ……。」
三人で眉を寄せはしたものの、答えはわからず。
「とりあえず、動きを見ながら二手に分かれて兄弟の旗を取りに行くぞ。
こっちに攻めて来ても、人数の利を活かせるしな。」
という嵐さんの作戦に、ニーナと私も頷いた。
「俺とニーナは別に動くけど、おまえはどうする?」