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□はば学冬の陣!
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 そう…守らなきゃ。






「私、聖司先輩のこと守ってみせます!」

「は?」


 拳を握って力強く宣言すると、聖司先輩が驚いたように目を丸くした。




 元々先輩たちを誘ったのはルカたちだけど、帰ろうとした先輩たちを引きとめたのは私。

 玉緒先輩は風邪ひいてもいいけど、聖司先輩の指がしもやけになったら大変だ!




「いや、僕も受験生だから風邪ひくのは困るんだけど。」

 よって、この身を盾にしても、聖司先輩だけは私が守る!

「ああ聞いてないよね。大丈夫、わかってる。」


「だって雪玉って言っても、投げるのがあの4人ですよ?

 当たったらゼッタイ痛いし……聖司先輩をそんな目に合わせるわけにはいかないです。」




 あの4人の『マジ勝負』……。想像しただけでも身震いがする。

 ほら、聖司先輩の綺麗な顔にもものすごい眉間の皺が刻まれてる。


「メモ子、おまえ……」

「私のことなら心配いりません!例えこの身が砕け散ろうとも!」

「つまりおまえは、俺が女を盾にしなけりゃならないような、情けない男だと思ってるんだな?」

「そんなの気にする事ないですよ!人には向き不向きがありますし。」


「……なるほどな。」


 ……あれ?聖司先輩の声、すっごい不機嫌だ。

 不思議に思って先輩を見ると、その顔にもくっきりと不機嫌な表情が。


 ……えっと。




「や、聖司先輩は情けなくなんかないですよ?」

「今更気を遣っても遅い。……おまえらはそこで見てろ。」

「え」

「設楽?」

 訝る私と玉緒先輩をよそに、聖司先輩は積み上げた雪玉の山から雪玉を掴むと、敵陣に向かって歩き出した。






「ま、待ってください先輩!どうするつもりですか!?」

「おまえの助けは必要ない。」

 慌てて追いかけると、とんでもなく機嫌の悪い声で制されて。

 反射的にぎくりとして、足を止める。


「待て、設楽!落ち着くんだ!」

「一人で行くなんて無謀です!相手はあの4人ですよ!?」

「ウルサイ。そこまで見くびられて黙ってられるか!」


 玉緒先輩が説得しようとしても、取り付くしまもない。




 聖司先輩がすぐ怒るのはいつもだけど、これはなんだかいつもと違って根が深い。

 それも、私が怒らせてしまったのは間違いなく。

 オロオロと状況を見守るしかない私がなにも出来ないうちに、


 臨戦体勢に入った聖司先輩は前線に向かってどんどん進んで行く。






「ど、どうしましょう……」

「あれはもう、止められそうにないな。」

 深いため息と共に玉緒先輩が肩をすくめて、私は完全に途方にくれた。

 聖司先輩一人で、ルカやコウに敵うはずなんてないのに……。






「仕方ない。これは遊びなんだし、設楽の気の済むようにさせればいいさ。」

「でも、怪我でもしたら……」

「それは設楽の力不足なんだから、##NAME##さんが気にする事はないよ。」

「そんな……」




 玉緒先輩の言うことは、冷たいようだけど間違ってはない。

 けど、私が怒らせたせいで、聖司先輩が怪我するかもしれないなんて……












 












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