Trust Me?

□vol.1 Tell Me?
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 1・王子・降臨! <デイジー視点>





「よし・・・っと!」

 ケープのリボンをきゅっ、と結び新しい制服を身にまとった自分を鏡に映す。

「うぅ・・・やっぱり短いよ〜。」

 膝上ざっと15センチのワンピースの裾は、教育委員会から文句が出ないのがフシギなほど短い。

 これでモチーフが修道服って・・・。そっちの方からもなにか言われたりしないのかな?

 でもやっぱり、タイツにして良かった。別に出せないほど太いってわけでもない(と思う)けど・・・、さすがに恥ずかしいもん。

 だけど、この制服がカワイイって、はばたき市でも有名なんだ。


 それにしても・・・

 私はもう一度、鏡に映った自分の顔を見つめて、ため息をつく。

 切ったばかりの肩につかない長さの髪は、とてもお気に入りなんだけど、顔立ちの幼さを余計に際立たせてる気がする。

 海野 あかり。正真正銘、今日から高校1年生。

 だけど・・・
 

「高校生には見えないかも・・・」

 口に出して、ちょっと落ち込む。


 これだから朝に会った人にも、素っ気無い態度とられちゃったのかもなぁ・・・。

 初めのうちはすごく丁寧に話しかけてくれてたのに、迷子だってわかった途端

 ものすご〜く呆れられたのか、表情も口調もすごく面倒くさそうなものに変えられてしまって。

 格好いい人だっただけにちょっとショック・・・。

 私はさっきのことを思い出して、またため息をつく。

 しかもその人と出会ったのが、外観しか見てないとはいえ、すごく雰囲気のいい素敵な喫茶店だったから

 ・・・なんだかいいことありそうな予感がしたのになぁ。


 でもその人、すごく丁寧な地図書いてくれたんだよね。方向音痴な私でも、ちゃんと迷わずに知ってるところまで出られたし。

 悪い人ではないんだろうな。またお礼がてら、あの喫茶店に行ってみよう。

 あの人がいなければ、入学式に間に合う時間には、帰って来れなかったんだから・・・


「ああっ、私、入学式に遅れそうなんだった!」


 ものすごい引力でぐいと現実に引き戻された私は、鞄を手に慌てて部屋を飛び出したのでした・・・。
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