ときめきバグりある!1st trip

□10・基本的には学生ルールにのっとっといてうまいこと網の目くぐればいい
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「ところで話戻してバイトの事だけど」
「ん?ああ、店長にはうまいこと言っとくから気にすんな。」
「いやいや違くて。アンネリーのバイトもお願いしたいんだ。」
 頼れる兄ちゃん的な笑顔を見せた真咲にふるふると首を振り、たった今思い付いた提案をしてみる。
「今のとこ、住みこみ賄いつきの代わりにバイト代高くないから、掛けもちは歓迎なんだよね。
 時間も夕方からだから午前中とか余裕で空いてるし。アンネリーって午前中も入れるのかな?」

 いやもちろんバイト三昧になるのはまずいんだけど、真咲も攻略キャラなわけだからここで繋がりを切るのは不可だよね。
 好感度もパラメーターもオッケイ、イベントも制覇、なのについ出来心でバイト辞めて遊くんリストから真咲が消えたあの瞬間……

「おお、それは問題ないし正直助かる!それに朝の方が人出足りてないから、店長も喜ぶんじゃねーかな。」
「ホント?良かった!」
 やったぁ!アンネリーでバイトだ!
 大学生の有沢さんと昔の友情を深めたり、あわよくばもりりんや葉月王子の一流大学組とお近づきになったり

いやなにより天之橋さんと薔薇について語りあいたい
 薔薇の知識はゼロだけど、つか植物枯らすタイプの人間だけど、アンネリーで生まれ変わります!もの!!



「あ、でもアンネリーって朝何時から?夕方までって言ったけど、2時くらいにはあがりたいかも。」
「開店時間は10時だな。でも仕入れや準備もあるから、朝シフトは9時には店に入るみたいだぞ。」
「おお好都合!」

 だったら2時あがりも大丈夫そうだな。
 9時からなら瑛を見送ってから家を出れそうだし……むしろ一緒に家を出て
『じゃあ俺はここで……バイト頑張れよ』
『うん瑛も勉強頑張ってね!あんまり他の女子に優しくしちゃ嫌だよ?』
『りあるこそ、男の客とか従業員とあんまり仲良くするなよ。』
『もう、瑛ったらヤキモチやきだなぁ。』
『そっちこそ!』
 みたいな別れを毎朝満喫したい……!!


「あ、でもその言い方ってことは、真咲は朝シフト入らないんだ?」
「ああ、その時間は授業あるし。俺はもっぱら閉店後までのシフトかな。」
 ふと気付いて指摘すると案の定図星だった。

 しまった。
 アンネリーでバイトといういかにもGSシチュエーションに気を取られて、そもそもの目的をないがしろにしてしまってた!
 真咲のシフトに合わせるとなると、珊瑚礁の開店準備に間に合わない。っていうかむしろ珊瑚礁でバイトが出来ない。

 週2でもらってる珊瑚礁の休みにアンネリー?……でも放課後の時間帯を丸々埋めてしまうと、他のキャラが
「どうした?」
「いや真咲に会えないのは嫌だなって」
「………。」
「真咲?」
 足りない頭で考え込んでいると真咲が黙り込む。
 それに気付いて顔を上げると、普段見慣れてない高さで赤く染まった真咲の耳が見えた。

「真咲……どうかした?」
「いや!なんでもない!」
「そ、そう?」
 突然大きな声を出された。
 これ以上この話をしたら怒られそうだな。
「……週2で昼シフト入ってっから、その時は会えるんじゃねーか?」
「そっか!だったらその日はバイト入れてもらうように店長に頼もうっと。」
 そう言えば庭師イベントは昼休みだったもんな。良かった、これでバイトで放課後が埋まらなくて済みそう!

「…………はぁ。」
「え、なにそのため息。」
 がくんと肩を落とした真咲に驚いて再び見上げると、さっきより近い場所に真咲の顔があった。

「うわ、近!」
「……りあるって変わってるよな。」
 しみじみ呟かれる。
「……あー……まあ、否めないかも。」
 特に真咲にとっては石潰しのレイヤーさんだし。

「昨日会ったばっかで得体も知れないヤツなのに、なんか気心知れてるっつーか初めて会った気がしないっつーか……」
「はぁ……光栄です」
 真咲の真意がわからなくて、ただただわたしは戸惑うばかり。
 ええと……褒められてるんだから、鬼畜化はしないよな?

「勝己が苛立つほど無頓着な時があれば、妙に心得てる風な時もあって、結局ほだされてる自分がここにいる。」
「真咲……ほだされてるの?」
 ってどういう意味だったっけ?
 軽く混乱しかけていると、またもや真咲の顔がぐっと近づいた。

「そうだな……なんか、運命的なものを感じてる。」
「う、運命的って……」
 急に漂いだした妖しげなムードに思わず身を引く。

 え、なにこの展開?鬼畜って感じじゃないよな?むしろ真面目に口説かれている……?
 いやいや落ち着け真咲!落ち着けりある!真咲は後輩には手を出せない保護本能満開の男……
ってわたしデイジーじゃないから別に後輩じゃないし
 ここに来てようやく気付いた事実に、引きつりそうになる口元を必死に動かして尋ねる。


「もしかして真咲って、一般的には手の早い方の人?」
「……や、本命には誠実な方の人だと思うぞ?」
「つまり、それ以外はそうでもないという解釈でいいのかな!」
「わははー」
「わははじゃない!!」
 遊くん情報を通じてデイジーにチクってやる!

 決意を新たに(?)じとりとした目で見てやると、真咲はあっさりと離れた。
 この退くタイミングを心得てる風な感じ、かなり問題あると思うぞわたし的には!
 デイジー視点では見られなかっただろうと思う真咲の一面に、わたしは眉をそばだてて見せながらも
いやむしろそんな真咲に大切にされるとかが三倍萌え(当社比)なんですけど!!
 心の中では悶えていた。
 こんなもんだよね、乙女なんて。いや真咲だからなんだろうけどさ。






  
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