小説

□さよならマドンナ
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 状況を整理してみる。

(まず、ここは――)
 ――完全なる異世界であるということ。
スパーダの世界よりは技術も優れていて、豊かであるように見受けられる。
そして、ルカ・ミルダが――聞くにはイリアやアンジュも――存在しているが、性別は全く逆。
 さて、彼にしてはこんなあべこべな世界とは早々におさらばしたいところだが……如何せん帰り方を知らず、肩を落としつつ坂道を登るしかない。
(……女のルカ、か)
 街灯の下で掌を見つめるスパーダ。
「スパーダ……君、か。スパーダ君?」不意に声がかかった。
「ぬぉわ!!」
 コケるかという勢いで跳び上がるスパーダに、男の声が笑いを含む。
「へぇ……ホントだったんだ」
「な、べ、別にっ、ルカのアレがどうだとかっ、そんなんじゃねーからな!!」
「……何のことだかさっぱりわからないけど……僕がわかる?」
 若い青年がいる。
青い髪……優しげな顔に笑みを浮かべ、自身を指さす彼は――
「……アンジュ?」
「正解。さ、行こうか」
「ってちょい待て! マジかよ?!」
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