小説

□ストーカー?
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 歩を進めた。
 どこもかしこも謎に満ちている。
 町並みに、乗用車の存在とそのスピードに、店やなんやの照明の明るさに、音を奏でる小さな箱に……各々驚き、感嘆し、自分の知る場所でないことを再確認して落ち込むという作業を繰り返した。
(……とりあえず、だ。ココがどこなのか。……ハッキリさせねェと始まんねェよな)
 スパーダは咳払いの後、まるで雑貨屋の店員のような笑顔で、近くを通りかかった“少女”に声をかけた。
「あー、あのー」
「え、あっ、はい?」
 立ち止まって振り返った少女の顔を見るや、たちまちスパーダの笑みが失せた。
少女、いや……よく知る少年。
「……ルカ?」
「はい? って、ぇえ?」
 目の前に存在する人物――似ているどうこうのレベルではない――ルカ・ミルダその人は、目をぱちくりさせながらスパーダの頭から爪先を観察し、一つ後ずさった。
「ルカ……? なんかよくわかんねェけどちょうどいい!」
「す、すぱ……いや、嘘……。誰ですか……?」
「ぁあ? 今正解言いかけたじゃねェか。 ふざけてんのか、お前」
 スパーダの睨みに脅えた色をみせつつ、ルカは言う。
「ふ、ふざけてるのはあなたですっ。何なんですか?
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