名探偵

□パートナー2
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「服部っ、悪かったよ!そんなにびびるとは思わなくて、その…。」

「うぅ…、くどぉの…っ、ドアホォっっ!!!」
「え!?」
平次の怒声と共にコナンの視界がぐるっと反転する。そのあとに背中に鈍い衝撃。

「…はっ、とり??」
事態が一瞬わからなくて、コナンの声が震える。
その腹の上で平次は眉をひそめてしゃくりあげていた。

「服部…。ごめん…。」
自分にだきつく形で涙を流している彼にそっと呟く。すると、平次は小さく首をふった。
「ちゃうねん…、工藤はわるない…。オレがびびってもうたんや…。くどう…オレな、実は…。」
「うん…??」
少し落ち着いた様子の平次は涙をためた瞳でコナンを見上げた。

「…初めて…やってん…。」


…は???


「そりゃ工藤は顔もええし、女の要領わかっとるからもう当たり前かもやけど…、オレは…オレはな、初キスやってん!!」
さっきは腹の上にいたのが、半ば馬乗りみたいになって身体をガクガク揺さぶってくる。

下から見上げる形で平次の必死な表情をみる。何だかひどく可愛らしく見えてコナンは内心はっとした。

「工藤、オレな、こう見えても色々考えとってん…。その…初ちゅーするんやったら、花火大会の後、とか、桜が舞っとる木の下、とか、クリスマスの雪ん中、とかっ…!!」

目をゆらゆらさせて、必死に言葉をつなぐ平次をコナンは思わずにやけながらみてしまう。
「へぇ。服部って意外にロマンチストなのな。」
「ロマ…っ!?ふ、ふつーやろ!!」
「キスぐれぇで、んな赤くなんじゃねぇよ。」
「キスぐらいて…!!」
「じゃあ服部は、これより先もしたことはねぇんだな??オレの方がその経験では勝ってるってことかな。」
「んな…っ」
平次は一気に言葉を失う。彼は勝つとか、勝負とかいう言葉に異常に弱い。負けん気の強いせいもあるのだが、その言葉たちに無意識に反応してしまう。
「…負けてへん…」
「はぁ??負けてんだろーよ。キスぐれぇで顔真っ赤にしやがって。」
コナンは内心ほくそえむ。平次をからかうのはただ面白かったが、恋愛感情を自覚してからは、その翻弄される姿が非常に愛らしく見えるのだ。

「キス、初めてだったんだろ??それならやっぱり…」
「ちゃうって!!」

そんな顔、バレバレなのに今さら違うと言い張る平次。大体さっき、自分自身で初キスだとは言わなかっただろうか。

「ふぅん、服部、初めてじゃねぇんだ。なのにそんなに赤くなって…。もしかしてかまととぶってるわけ??」
「そ、そうやっ!!工藤のこと驚かせたろおもて…!!」

急にぐっと拳を握りしめたりして、強がる平次。

まぁ、そうくるだろうとは思っていたけれど、どこまでもつのやら…。せいぜいやせ我慢するんだな。

好きなこをからかってあそぶことを覚えた子どものように、意地の悪い目をするコナン。
ひっこみがつかなくなった平次は身体を前のめりにしたままだ。
顔には、あちゃ〜いってもうた!!どないしよ〜ってかいてある。
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