ホスト部

□シナモンの香り
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「かーおーるっ♪」
「えっ…??んぐ!!」

突然口に押し込まれたクッキー。
目の前には満面の笑みの僕の兄貴。

「ひかるっ!!ビックリするじゃん。」
「ビックリさせたかったの!どう??オイシイ??」

相変わらずニコニコしたままで僕に聞いてくる。口のなかには甘いメイプル味と鼻に抜けるシナモンの香り。

「…ん。美味しいけど…。」
「よかった!!馨に一番に食ってほしかったんだ☆ハルヒと作ったんだ〜」
「ふ〜ん…。」

確かに僕に食べてもらいたいっていう光の気持ちは嬉しい。
でも…二人っきりで調理しつにいたのかぁ…。

「…馨、ダイジョブ??美味しくなかった??」
光が心配そうに僕を覗き込む。
最近思ったけど、光ってなんか格好いいな。

…って、双子の兄貴に格好いいって、おかしい??

「ちょっと光!片付けしないで行っちゃうんだから!!」

あ、ハルヒ。今日はラフなパーカーとジーンズかぁ。可愛い可愛い。
そんなことを思ってたら光にじとっとした目で見られていた。

「…馨、今ハルヒのこと可愛いなぁって思ってたデショ。」
「え、うん♪やっほ〜ハルヒ、クッキー美味しかったよ☆」
「あ、馨!!ごめんね勝手にお邪魔してて。光に朝呼び出されて。」
ハルヒのちょっと困った顔。きっと光はこんなハルヒも好きなんだろうなとか思って何だか暖かい気持ちになる。

「いいよ〜、ハルヒならいつでも大歓迎☆あ、クッキーのお礼にお昼ご飯食べていきなよ☆」

「えっ…、でも突然きたのは自分だし!」

「今日は大トロにぎってもらうから、ね??」
「え!?ほんとに!?」

ハルヒの目が輝く。
ほんとに可愛いよなぁ、光が好きになるのも頷ける。もちろん僕も好きだけど、友だちとして☆


「…光??」

さっきから口を聞かない光に目をやれば、なんだか酷く不機嫌そうで驚いた。
あれ??ハルヒとご飯食べられるのに…嬉しくないのかな。

「光??どうし…」

「馨のバカっ!!そんなにハルヒがいいなら、二人で食べればいいだろっ…!!」

「ちょ!?光!!」

バタンッ!!
部屋のドアを勢いよく出ていく光。
僕はもう訳が分かんなくてその場から動けなかった。


「…馨。」

「あ、ハルヒ、ごめんね、光なんであんなに…」

「自分は鋭い訳じゃないけど、光の態度ならすぐわかるよ、馨は鈍いんだね。」

……は??

なに、鈍いって言われた…??

よりによってハルヒに……!?

「ちょっ…!?ハルヒ、どういうこ……んっ!?」


……

………


……………え??


「…こういうこと。」
僕はとっさに右手で口を覆う。
…いま、確かにハルヒに……キス、された!?
「なっ…!!ハルヒ!?」
思わず叫んだ瞬間、
バターンッ!!!!

今度はドアが悲鳴をあげる。それと同時に自分とよく似た声。

「馨っ!!ハルヒのバカっ!!僕の馨にーっっ!!!」

「ごめん光、馨があんまりかわいくて…。」
顔を真っ赤にさせてハルヒにくってかかる光。
僕は相変わらず、ハルヒの感触が離れなくて、赤くなったまま立ち尽くすしかなかった。
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