小説

□棘過去出会い話
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―――ズガァンッッ!!



体に激しい衝撃が加わった。

視界が暗転し、木の幹にたたき付けられていた。
さっきまで立っていた場所を見ると、さっきとは比べられ無い程レベルも図体もでかいオオカマキリが居た。
こいつが投げ飛ばしたのは明らかだった。

迂闊だった。

鳴き声に気付いて来たのだろう。


「…っつ!!」

さっきの衝撃で左腕に激しい痛みが走る。
多分骨が折れたか、ひびが入ったのだろう。

左手に力が入りにくい。

そんな事はお構いなしに敵は攻撃をしてきた。


「…クソッ…」

右手で刀を持ち上げ、一旦体制を立て直す為に間合いを開ける。
だが、でかいだけじゃなく戦闘に慣れているのか、すぐに間合いを詰めてくる。

攻撃範囲から出る事が出来ない。

鎌がすぐ傍まで来ていた。


「くっ!!」

やっとベルトとズボンの間に鞘をねじ込み、刀を抜いて鎌を跳ね返した。
だが、跳ね返した体はがら空き、左腕は負傷で追撃を避けきれなかった。



―――ブジュゥゥッ!!



後方に下がり、体が真っ二つに裂けることは回避したが、左肩から右脇腹にかけて深い切り口が出来た。


「!!くぁっ…!!」

傷口から止めどなく血が流れる。
血が足りなくなってきたらしく、意識は朦朧とし、手足も震えが止まらない。


「はぁっ…はぁ…ごほっ!!」

息苦しく、呼吸するのも辛い。
吐血まで出てきた。


―――死ぬ…のか?


その時、視界が強い光りで真っ白になった。

そこで俺の記憶は途絶えた。
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