小説

□雨の日の過ごし方
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どうしていいのかわからないシロゥに助け舟が出た。

「ったく…」
「相変わらず、食いしん坊なやつらや!よくこないなちっこい体でよう食うもんやなぁ!」

ひょいっとムシクイたちを持ち上げる双斬と翅音。
翅音のほうは方言の訛りが体に染み付いている。
ムシクイを持ったまま、双斬、翅音と順に零時の隣に座った。
ムシクイはジタバタしていたが、次第におとなしくなった。

「あ、ありがとうございます…!」
「いや、かまわんで!」
「…別に」
「双ちゃん感じわるーい!!」

ちゃっかりシロゥの隣に座った友が双斬に駄目出しをする。
怒りっぽい双斬はイラッと眉間にしわを寄せる。
お構いなしに友はシロゥに話しかける。

「ごめんねー?ほとんど素っ気無いんだよー。」
「…うるさい。ほっとけ」
「まぁツンデレだからさ〜、シロゥちゃんも気にしちゃ駄目だよ?」
「う、うん?」
「誰がツンデレだ!!!」

双斬の怒りも虚しく、ニコニコと友は笑ってからかっている。
こうして友が双斬をからかうのはいつもの事なので、特に介入しない零時と翅音。
その光景を間でミルクを飲みながら傍観しているシロゥ。

「そういえば、丁度良い所にシロゥ君来たね!」
「…?何かあるんですか??」
「うん!僕達も楽しみにしてる事があるんだ♪」

プレゼントを待っている子供の様な笑顔で零時は返す。
そんな笑顔で返されるとこっちまで顔がほころんでくる。

「期待してて♪」
「はい!!」


    
そして、数十分後に出てきたのは焼きたてのミニカップケーキとクッキーに紅茶。
プレーンにチョコチップ、抹茶、シナモン、マーブル。
味も様々な物がシロゥの目の前に並べられている。

「おいしそう!!」
「でしょ〜!?期待を裏切らない美味しさだよ!!」
「えぇ。見た目だけでなく味の保障ももちろんしますよ」

目を爛々と輝かせる友に、にっこりと笑う萩由。
学生組みの3人も友程ではないが、嬉しそうだ。
雨璃に呼ばれて仕方なく出てきた棘が席に着き、全員がそろった。

「では、いただきます」
「「いただきまーす!!」」



いつもの仲間に一人加わったおやつの時間。
いつも以上ににぎやかで楽しいひととき。

穏やかな時間が今日も過ぎていく。






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