小説
□雨の日の過ごし方
1ページ/4ページ
───バシャバシャバシャっ
雨の中を駆ける足に跳ねる水。
白い髪に水色のワタメの耳の少年が、手持ち箱を持って木の下に駆け込んだ。
「本当に降って来ちゃった…」
空を見上げ、シロゥは呟いた。
水気を多く含んだ髪の毛からは水滴が滴り落ちる。
ふと、辺りを見渡すと林の開けた中に一つの家があった。
『雨の日の過ごし方』
ポツポツ降っていた雨も徐々に雨脚が酷くなっている。
零時達は各自の自室(島)ではなく、別のリビングがわりに使っている大きな部屋に集まっていた。
零時はCDを聞いていて、その隣で翅音(しおん)は楽譜とギターをにらめっこ。
双斬はというと、ソファーでバイク雑誌をパラパラと見ている。
アカモリとクロモリは湿気のせいか、おとなしく飼い主達の肩や頭に乗っている。
そろそろ3時のおやつの時間のため、萩由(しゅうゆ)がお菓子を作るのを雨璃が手伝っていて、
それをゲームをほうり出して楽しげに友が見ている。
棘(いばら)は一人で居る事が多い。
そのせいか自室に篭っている様だ。
時間は相も変わらず、穏やかに過ぎていく。
───コンコンコンッ
突然の来客者を告げるノック音。
「おや?誰でしょうかね?」
「…雨なのに…」
「ボク行ってくる〜」
「雨璃は続けてて下さい」
「はぃ」
友は玄関に行って覗き穴を見る。
知らない少年が一人肩を震わせて立っていた。