Rahpsody

□パイルドライバー
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パイルドライバー



ゆらゆらとした浮遊感にとらわれながら微睡に身を委ねる。

この覚醒の直前の僅かな時間が私は好きだ。

体温と同じぐらいに温まったシーツの温度も柔らかな羽布団の感触も目は開けなくとも感じる日の光、そして朝の香り。

全てが極上に等しい。

うっすらと目を開けて時計を確認する。

タイマーが鳴るまであと5分。

寝返りをうって猫のように丸まる。

会社に行きたくない、なんて思うのはいつものこと。

この瞬間が続けばいい、なんて思うのもいつものこと。

そして無情にも時間が過ぎるのは自然の摂理でタイマーが鳴るまであと、2分。

丸めた身体をゆっくりと伸ばす。

ゴキゴキと骨が鳴る。

極上の時間と別れを告げなければならない。

心の中でカウントダウンを始める。

5。

4。

3。

2。

―1

タイマーが鳴ると同時に私の部屋の扉は開け放たれ、

「マスター、朝です!おはようございます!!」

無遠慮に青い物体が入ってきた。

「今日もいい天気ですよ、マスター!」

天井を見つめる私の視界に青い髪をした青年が映った。

その眩しいくらいの笑顔にボルテージが上がるのを感じる。

そのままの態勢で今だ鳴りつづける時計を手を伸ばしアラームを切る。

少し力が強かったのか、時計はガショッという抗議の音を立て鳴り止んだ。

「マスター?」

大きく息を吸って、吐く。

準備は万端。

よし、いける。

「…パイルドライバァァアー!!!」

「え、ちょ、マス…タ…!?」



刹那の後、ドゴッという鈍い音が部屋に響いた。




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