炎の紋章小説
□ぼくの一番
1ページ/1ページ
ある意味特殊な話でオリキャラばかりです。
オリキャラの設定は後書きにて。
※擬人化ネタ←
────
* * * *
「はぁ‥。」
まるでこれ見よがしなため息に立ち止まり、ため息をついた相手を見る。
「どうしたヤノト。また彼奴等か?」
「‥あ、ニーグ。うん‥、そうなんだ。」
ヤノトはニーグを見て少しだけ微笑むが、直ぐに表情が暗くなる。
「‥ジフリーもリュンルも、ライシもフウキも、何で僕のことを好きだ好きだって言うんだろう。」
ヤノトの暗い表情の原因は、仲間であるジフリーとリュンル、ライシとフウキ等四人からの熱烈な好意だった。
以前はただの友達であり仲間だったのが、最近になって所謂恋人になってほしいという意味の好意を寄せられて、ヤノトは困惑を示していた。
「僕は、皆のことが好きなのに、それじゃあいけないのかなぁ?」
「彼奴等は、アンタの友愛や家族愛のような愛ではなくて、ただ一人の大切な者としての愛が欲しいんじゃないか。だから、あんなに必死にアンタにアプローチしてるんだ。」
内心ではニーグに言われずとも解っているのだ。好きだと言う彼等に同じく好きだよと返すと、嬉しそうにする反面複雑そうにする。
友人で仲間であるが、同一存在だからこそ、彼等の内心がうっすらとだが読み取れる。
しかしヤノトにとって、彼等にはそう言った意味での好意は一切無い。仲間で友達で家族としての愛しかないのだ。
だって‥
「だったら早く恋人でも作って彼奴等を黙らせる他無いな。」
「‥うん。」
軽く言うニーグに、少しの苛立ちと複雑な気持ちがない交ぜになる。
ヤノトにも解っているのだ。だからこそ、それを言って良いのか解らないのだ。
「まぁ、アンタに告白されたら誰だって断る訳無いな。俺だってアンタのこと好きだし、他の皆だってアンタにゾッコンなんだからな。」
「え?」
その言葉に、ドキン、と胸が高鳴った。
「え‥、ほ、本当に?」
「ん?ああ。何だ、そんなに気になるのか?キュワーやドロシーも‥、」
ニーグの続く言葉はあまり耳に入らなかった。
だって、思いもよらぬ言葉が先だって聞こえたからだ。
「ニーグ聞いて!」
「な、なんだ?」
思いの外大きな声が出ていたが気にならなかった。勢いのままついて出た声にそのまま思いの丈をぶつけた。
「僕は、君が好きなんだ!」
勢いのまま出た思いは、しかし、キョトンとする彼に通じたのか解らなくなった。
「お前が、俺を‥、好き?」
「‥うん。」
あまりに顔色を変えないニーグに、勢いが消え失せていく。
「・・・」
「ゴメン‥。いきなり、迷惑だよね‥。」
黙り込むニーグを直視できなくて目を逸らす。その沈黙すら、怖くて耳を塞ぎたくなった。
「ゴメンね。‥やっぱり、忘れて。」
どれくらい続いたか、沈黙を破ったのは気まずくなったヤノトだった。
「っ!い、いや、すまない。ちょっと考えてしまっていた。」
その声に肩を揺らしたニーグだが、意味不明な台詞で疑問が浮かんだ。
「?考え?」
沈黙が長考だったのか、何を考えていたのか、断りの台詞か何なのか、怖いながらも聞き返した。
「ああ。俺がアンタに相応しいか、ジフリー達からアンタを守る術やら、アンタを、幸せに出来るのか‥とかな。」
「っ?!」
照れ臭そうに頭を掻きながら視線を逸らすニーグに、思わず此方も顔が熱くなるのを感じた。
「え‥と、それって?」
「本当はこの想いを告げるつもりなど無かったんだがな。まさかお前がそう言ってくれるとは思わなくて柄にもなく照れてしまった。‥だから、言わせてくれヤノト。」
「えと、‥何?」
「俺は、お前が好きだ。俺と付き合ってくれ。」
「っ!うん!」
* * * *
「エポニーヌ。ちょっと此処に座れ。」
ゼロは妄想の世界にイッている娘に、近くに座るよう強要する。
「何よゼロ父さん。今イイ所なんだから邪魔しないで。」
「イイから座れ。お前に聞きたいことがある。」
「全く、何なのよ。」
文句を言いながらも素直に(但し少しだけ離れたところだが)座るエポニーヌの様子に頷くと、ゼロはエポニーヌの前に一冊の薄い紙束を見せた。
「なにこれ?」
「お前はコレに見覚えはないか?」
「無いわよ。てか、これは何なのよ。」
「本当に見覚えがないのか?なら、中を読んでみろ。」
中を見るよう促せば、渋々とそれを読み出した。
「・・・な、何よコレ?!」
読んで数十秒。速読の気があるエポニーヌだが、その内容はしっかりと頭に入りかつ妄想基空想が巡り廻っている。
「アタシ的にはニーグもいいけどジフリーやリュンル達についても掘り下げてほしいわ!でもこの内容、ニーグ×ヤノトっぽいけどヤノト×ニーグでもイケそうね!設定的にはヤノトはニーグよりも年下みたいだけれどたまには年下攻めもイケそう!誰がコレ書いたのかしら!是非続きを読んでみたいわ!」
大興奮のエポニーヌに、これは知らないと言うのが本当だったと後悔するゼロは、そしていったい誰がこれを書いたのかと首をかしげた。
そして、ふとその紙束の表紙を見て頭を抱えた。
そこには以前タクミやサクラにカムイが聞いた、末子の白夜文字の名前が小さく崩されて書かれていたから。
取り合えず、カムイと共に娘達の趣味について語り合わなければならないと、ゼロは思った。
END
**後書き**
オリキャラばっか!名前安直!
白夜文字(漢字)ではカンナは“神那”で。因みにカムイは“神威”。
ヤノト
夜神刀の擬人化。
仲間大好き博愛主義だが、ニーグに一目惚れしてずっと好きだった。
白の血族風の和服男子
ニーグ
シャイニングボウの擬人化。
ヤノトの事を恋愛対象として好きだが、ヤノトが別の人が好きだったら身を引くつもりだった。
アドベンチャラー風の銀髪男子
ジフリー
ジークフリートの擬人化。
リュンル
ブリュンヒルデの擬人化。
ライシ
雷神刀の擬人化。
フウキ
風神弓の擬人化。
キュワー
和弓の擬人化。
巫女服女子。
ドロシー
ロッドの擬人化。
シスター服女子。
ジフリー以下細かな設定は特に無し‥。