炎の紋章小説

□白銀の想い
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ゼロカム♀+カンナ♂絆の白夜祭ネタ前提ゼロカム♂未満支援C以降〜S
花吐き病ネタ


────


コフッ‥

血の臭いじゃない、僅かに香る花の匂いに苦笑が浮かぶ。

読めない文献に四苦八苦して読み解いたその病は、決してバレてはいけない。‥唯一ニュクスには発覚してしまったが口止めをしたし、主君であるレオンにも‥、まして、あの方にもバレてはいけない。

花吐き病─
古来から今に密かに伝わる奇病。片想いを拗らせた者が患う病は相手を想い馳せる思いが花となって吐き出される病。治すには、相手を想うのを止めるか、相手と両思いとなるだけ。

だが、相手は決して手を出してはならない相手。自分も相手も男であり、ましてや、相手は両国の王子王女等他の仲間達にとても大切にされている王子であり、対して自分はその弟の臣下であっても元は卑しい盗賊だ。釣り合うわけもない。

どんなに止めようとも結局胸の内から追い出すことは出来ず、そんな相手に叶う筈もない想いを抱いて、それを拗らせて奇病を患うなど、いっそ命を絶ってしまった方が、余程救いだろうか。


「あ、ゼロ!」
「カムイ様‥。」

それでも命を絶てずに病を隠して、無垢な笑みを浮かべ近付いてくるこの方に恋い焦がれる。

最初は認めたくなくて、遠ざけるために、無防備なその首筋に噛み付いてみたけれど、警戒はされたが結局変わらずに無垢な笑みを浮かべて話をせがみ、身の上の一部を話して遠ざけようとしても、また直ぐに柔らかな笑みを浮かべて近付いてくる。

そんな無垢な存在が愛しく、恋い焦がれ、吐き出す赤い花が蝕んでくる。


いっそ、想いを伝え、諦めさせてくれ。断ってくれ。そうして‥この病から解放させてくれ。

そんな思いで、先程吐いた花を握り締めながら、カムイ様に思いをぶつけた。


ああ、その顔。胸糞悪い花の臭いで視界が歪み、拒絶する顔が拝めない。

だが‥、

さぁ、断ってくれ。

奇病が貴方を犯す前に。


「過去の話は語れなくても‥」
「え?」
「未来のことなら、一緒に語れるんじゃない?過去の分まで未来のことを二人で一緒に話さない?それなら僕は‥この申し出、受けるよ。」

視界がぼやける。まるで水の中に居るような。
だが、その顔は、焦がれ、愛した彼の、見たことのない、照れていて、それでいて嬉しそうな微笑みだった。

その微笑み、言葉を全身で理解した途端、

ゴフッ!

「ゼロ?!」

体を蝕んでいた花を、大量に吐き出した。

「ゼロ大丈夫?!」
「‥ああ。」

耐えきれなくなって吐き出した花の色は、白銀。

触れてみると、赤い花は色に反して無機質な冷たさを感じたが、白銀の花は、雪のように冷たく感じるのかと思えば、まるで優しい暖かさを感じた。

「暖かい‥。これが愛情か。俺のナカが、お前でいっぱいになるのを感じる。」

大切なこの人と同じ、無垢な色。

「俺はいつの間に‥こんなに‥、お前を好きになったんだろうな。」

ふわりと、柔らかく優しい薫りが辺りを満たした。



END


**後書き**
花吐き病ネタ第2弾。今度はハピエン目指してみた。
にわか知識で書いたから変でもご容赦ください。

ニュクスはともかく多分レオンも気付いてると思うし、フランネルやニシキ辺りからもバレてると思うが気にしない。てか獣人二匹は花吐き病は知らなくとも匂いで変だとか気付いてると思う←

ゼロ+カン♂の白夜祭で、実はゼロがカムイに支援Cから恋してると分かったので発狂した馬鹿です。




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