炎の紋章小説
□一緒に寝よう!
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ゼロカム家族話
**前書き**
エポニーヌとカンナ♀生まれちゃいました。
だってifだし!
父親+カンナ♂支援ネタでゼロカム♂+エポ+カン♀。
────
秘境に預けていた愛娘達と合流し、久方ぶりの家族団欒を楽しんでいた。
「一緒に寝たいよ!」
突然の末娘の言葉に、隻眼と赤眼が凝視した。
「突然どうしたんだカンナ?」
いち早く我に返ったゼロは末娘であるカンナに意味を問う。
「お父さんたちと一緒に寝たいの!」
「ああ、昼寝したいのか?」
今の時間で寝たいとは昼寝をご所望なのかと聞けばブンブンと首を横に振る。
「違うの!夜に一緒に寝たいの!」
あぁ、とやっと意味の通じた言葉に両親は内心何故それを言い出したのか気になれば、横に座る長姉が答えた。
「この前カンナと同じ名前の男の子が居る星界に行ったでしょ?その時にご両親と一緒に夜寝るようになった、って言われたのよ。」
先日数多ある星界の一つを訪問し、そこではカムイと同じ名の少女がこれまたカンナと同じ名の少年を授かり、だがそこでのカムイの伴侶は隣にいる隻眼の青年ではない別の男性だが、同じく幸せな家庭を築き、その星界で最近になって両親と一緒に夜寝るようになったのだと、嬉しさ混じりに言われたそうだ。
「あぁ、羨ましくなったんだな。良いぜ、今夜はカンナも一緒に寝よう。」
「ふふ、僕も良いよ。」
まだまだ甘えたい盛りのカンナに、秘境に預け余り構ってあげれなかった負い目も僅かにあったからか、そんな可愛いおねだりにゼロとカムイは快く頷いた。
「ほんと?ヤッター!エポニーヌも一緒にだよ!」
「えええ?!あ、あたしはいいわ!遠慮するわ!」
まさかの飛び火にエポニーヌは摘まんだクッキーを取り落とし、妹の提案に盛大に拒否を示した。
「遠慮なんてするなエポニーヌ。」
「遠慮じゃないわ!ゼロ父さんがいなけりゃ即オーケーしてるわよ!」
茶々を入れるゼロに噛みつくエポニーヌ。
「エポニーヌは、家族で寝るのは嫌なの?」
「え‥、」
「あたし、お父さん達とも寝たいけど、エポニーヌとも一緒に寝たいよ‥。」
「う‥、」
姉の言葉にショボン‥、とするカンナにエポニーヌは言葉を詰まらせる。可愛い妹であるカンナの望みは是非とも叶えたいエポニーヌだが、その後ろの隻眼の父親のニヤニヤした顔に怒気を再発させかけた。
「エポニーヌ。」
「カ、カムイ父さん‥。」
その時、助け船を出してくれたのはもう一人の父親で。しかし苦笑気味のその顔は決して完全なる安堵は誘ってくれない。
「もし嫌なら、カンナの説得は僕がするから、気にしなくて良いよ。」
案の定助け船はエポニーヌにとっては泥舟で、その言葉はエポニーヌの良心を抉った。
「う‥、わ、わかったわよ!一緒に寝てあげるわ!」
「ほんとに?!ヤッター!」
喜ぶ妹によかったなと共に喜ぶ隻眼の父親に、勢いで言ってしまった了承の言葉を酷い後悔と何処か嬉しいない交ぜの感情がエポニーヌを襲い、頭を抱える娘にカムイはクスクスと笑いながらその肩をポンポン撫でながら慰めた。
「嬉しいなー!お父さん達とエポニーヌと、一緒に眠れるなんて嬉しいなー!」
はしゃぐカンナに些か気落ちしたエポニーヌがカムイとゼロの寝室へやってきた。
暫くは他愛もない会話を楽しみ、そろそろ夜も更け子供は寝る時間となり4人は赤いシーツのベッドへ向かうが、一悶着が起こった。
「あたしはカンナとカムイ父さんの間なら良いわ。」
カムイとカンナには相応に大好きであるエポニーヌは先手を打ち、赤目の父と妹の間を提案する。正直言ってもう親とも妹とも一緒に寝るなど恥ずかしすぎるエポニーヌは、明確に好きと言える2人の間に入った。
「それはつまり俺のとなりがイイってことか。」
「んなわけないでしょ!」
「わたしはエポニーヌとゼロお父さんの真ん中ー!」
ニヤニヤと茶々を入れるゼロに威嚇するエポニーヌは苦笑を浮かべるカムイの隣へ潜り込んだ。何だかんだ言いながら一緒に寝てくれる姉に嬉しくなるカンナもエポニーヌとゼロの間に入る。
「カンナ、いくら広くても4人にはちと狭いからな。もう少しこっちに来い。」
「うん!ふふっ、ゼロお父さん暖かい‥。」
「カンナも暖かいな。」
大人二人には十分な広さのベッドも四人には些か狭さを感じるため小柄なカンナを護るように抱き締める隻眼の父に、エポニーヌは少しだけ複雑なものを抱いたが、すぐに見せ付けるよう赤眼の父に寄り添った。
「カムイ父さん、寒くない?」
「大丈夫だよエポニーヌ。エポニーヌとカンナが居るから、凄く暖かいよ。」
「そう?なら良かったわ。」
「ふふ、こうやって家族で寝るのも良いね。」
「ああ。イイ、もんだな。」
カムイとゼロは、エポニーヌとカンナがまだ幼い頃にそれぞれの秘境で一晩泊まった時に川の字で寝た時を思い出す。そして秘境の時間の流れを実感し、嬉しさと寂しさを抱いた。
「ふあぁぁ‥。眠くなってきちゃった。」
ベッドの中でもお話をねだられ、暫く話していたが、カンナが大きなあくびをして話はまた明日となった。
「そうだな。イイ子はもう寝る時間だ。」
「いつもはカンナ、もう寝てる時間だもの。」
「楽しすぎて時間を忘れちゃったね。もう明かりを消すよ?」
「そうだな。さ、もう寝ような。」
「うん!お休みなさい!」
布団に潜り込むカンナのこめかみにゼロは小さなリップ音をさせ口付けをした。
「おやすみ、カンナ。」
「わ!あ、おやすみのキス!ふふ!あたしも!おやすみゼロお父さん!」
「ああ。」
小さい頃、秘境に一泊する両親がしてくれたことを思いだし、今度はカンナからゼロへ頬にキスをした。
「カムイお父さんも!」
エポニーヌを乗り越え、カムイにも頬へキスをするカンナに、カムイもカンナのこめかみへお休みのキスを贈る。
「ふふ。おやすみカンナ。」
「おやすみ!エポニーヌも!」
やはりというか、同じくお休みのキスをしようとする妹に困惑した。
「ええ?!良いわよ!」
「もう!たまには良いでしょ?!おやすみエポニーヌ!」
「まったく‥。おやすみカンナ。」
「えへへ!おやすみ!」
膨れる妹に観念し、頬へと軽いキスを贈れば、カンナも姉からのキスにくすぐったくしかし嬉しそうにして頬へキスをした。
「おやすみ、エポニーヌ。」
「おやすみ。イイ夢を。」
「おやすみなさい。カムイ父さん、ゼロ‥父さん‥。」
両方からこめかみにキスをされ、普段ならゼロに噛みつくエポニーヌも素直に受け入れ、照れながらも素早く両親の頬にキスを贈った。そして恥ずかしそうに、布団に潜り込んだ。
気恥ずかしさや疲れが勝りカンナも直ぐに寝息をたて寝入る。エポニーヌも直ぐに眠りに落ち、小さな寝息が静寂に響く。
「もう、こんなに大きくなったんだな。」
「そうだね。‥一緒に居れなかったのは、この子達もツラかったんだね。」
秘境の時間の流れの違いで自分達にはたった数ヵ月でも、彼女達には何ヵ月下手をすれば何年もの離れていた期間があり、それだけ寂しい思いをさせてきた。それがたまらなく悲しかった。
「でも、これからは一緒に過ごせるんだね。寂しい思いも、させなくて良いんだね。」
これからは、今だ戦禍であれど共にいて守ることが出来る。そして、その成長を共に見守ることが出来る。それが今までの寂しさ悲しさを上回る喜び。
「ああ。だが、戦いでこいつ等をこれ以上悲しませないよう、早く戦いを終わらせないとな。」
もうすぐ最終決戦の予感。
真の平和を目前に二人は将として、親として決意を新たに抱いた。
「でもいまは、この幸せを感じていよう。」
「そうだな。」
穏やかに眠る娘達にもう一度キスを贈り、二人もどちらからともなくキスをして眠りについた。
*おまけ*
「(もう!幾らあたし達が間にいるからって!もうちょっとイチャイチャしてくれてもイイじゃない!一緒に寝るなら間近で見れると思ってたのに!次は別々に寝てそのイチャイチャをしっかり焼き付けてやるんだから!!)」
穏やかな表層とは一転、内心やきもきしてた長姉がいたとか。
END
**後書き**
たぶんゼロカム♀でもエポニーヌを巻き込んで親子で寝るとかありそうだからゼロカム♂+エポ+カン♀でやってみた。
まあエポちゃんは内心こんな風に思ってそう。
ひねり出したオチがこれでいいのか激しく疑問。