炎の紋章小説

□甘い甘いモノ
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透魔ルートでゼロカム

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「「trick or treat!!」」

朝から愛らしい妹達の声が聞こえてきた。兄弟達や臣下、仲間達は意味を知るものは微笑みながら、判らないものは首をかしげながらいたが次第にその意味が広まっていく。

「カムイお兄ちゃん!ゼロ!trick or treat!!」
「カムイ兄様ゼロさん!えっと‥とりっくおわとりーと!です‥!」
「ふふ!いらっしゃいエリーゼ、サクラ。二人とも可愛いよ!」
「これはこれはエリーゼ様とサクラ姫。イヤらしいほどよく似合っていらっしゃいます。」
「うわ!お兄ちゃんもゼロもスッゴク格好良いよ!さすがカミラお姉ちゃんが見立てただけあるね!」
「えっと‥、確かカムイお兄様は吸血鬼で、ゼロさんのは海賊さん‥ですか?」


黒猫に仮装したエリーゼと同じく白猫に仮装したサクラが、恐らくエリーゼに教えられた台詞を辿々しく言うサクラに、吸血鬼に仮装したカムイは苦笑しながら迎え入れ、同じく海賊になったゼロはいつもの言い回しながら褒めている。

「はい!HAPPY HELLOWEEN!」
「HAPPY HELLOWEENです。お二人とも。」
「うわー!ありがとう!」
「あ、ありがとうございます!」

事前に用意していたお菓子の包みを二人に渡すととても喜ばれ、カムイも笑みを溢す。しかしエリーゼの持つそれに気づいた。

「あれ?それって‥、」
「あ、これ?さっきマークスお兄ちゃんとリョウマさんのところに行ってたの!でもリョウマさんがお菓子持ってないって言ったからイタズラしたの!」
「マ、マークスさんが面当ての紐を弛めてくださって、それで持ってきちゃいました。」
「これは白夜側の面々は不利でしょうね。」
「あはは‥。」

目に浮かぶ白夜の面々の顔にニヤリと嘲笑うゼロにカムイは何と言えば良いか分からず乾いた笑いを浮かべる。


エリーゼ達が去り、ハロウィンを知った面々が仮装してやって来たり、またはゼロと共にお菓子の入った籠を持ちながら見回りつつカミラやマークス等にお菓子を貰ったり、たまに持っていない面々にはイタズラとしてゼロがイヤらしい言い回しを炸裂させたりしながらキャッスルを見て回った。


「ふふ!凄いいっぱいお菓子を貰ったね!」
「これで当分の茶請けは必要なさそうだな。」

自分達が用意したお菓子は全て渡し、皆からもお菓子を貰って実はお菓子好きなカムイはご満悦だ。

「あ、そうだった!ゼロ、trick or treat!」

思い立ったカムイはゼロへ向けて決まり台詞を言った。その顔があまりに無垢すぎてゼロの加虐性癖を擽るともついぞ思わず。

「なんだ、お前もか?」
「だってまだ言ってなかったから、ダメ?」
「可愛いおねだりだがな、trickってイったらどうする?」
「え?!え〜と‥、その眼帯を盗る、とか?」
「俺に対してか?だったらキスするくらいの可愛い悪戯の方が歓迎だな。ほら、お前の分だ。」

あまり考えてなかったカムイに元盗賊に対しては絶対無理な悪戯候補を却下し、ゼロ用の引き出しからカムイの分の甘い菓子が入った包みを取り出したゼロはカムイに投げて寄越す。

「え?」
「ちゃんとお前の分を用意したに決まってるだろ?あと今日貰った幾つかの菓子もお前にやる。菓子は嫌いではないが数が多すぎるからな。」

まさかのtreat(持て成し)で呆然とするカムイに苦笑のゼロ。だがすぐに微笑み大事そうに菓子を抱き締める。

「ありがとうゼロ!」
「ふ、HAPPY HELLOWEEN、カムイ。」

そしてカムイはゼロから貰った菓子をテーブルの上へ、他の大量の菓子は密かに壁の壊れたところの隅にある箱の中に仕舞った。
カムイの回りには菓子の類いがないことを見てゼロはカムイを抱き締めた。

「そうだ、カムイ?」
「何?ゼロ?」
「trick or treat。菓子をくれなきゃ悪戯するぞ?

「ひゃっ!え?ゼロもなの?!」

耳元で熱っぽく囁くとビクリと震えるカムイに、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべるゼロ。

「お前にも菓子をやったんだ。俺にだって持て成ししてくれなきゃ不公平だろ?」
「ちょ!だったらさっき貰ったお菓子を‥!」
「それは貰った菓子であってお前が用意した菓子じゃあないだろ?」
「うう‥、じゃあ持ってないよ‥。」

この後の悪戯に怯むカムイに艶っぽく熱っぽく、ゼロは囁いた。



「ならば‥、trick、だな?」



どんな悪戯かはカムイは語らずじまいだが、お菓子よりも甘い夜を過ごしたのは確かなようだ。






END



**後書き**
透魔といってもエリーゼとサクラしか出てない‥。しかもまだ透魔データでゼロカム♂成就してない‥。

ゼロカム♂がどうなったかは皆さんのご想像にお任せ致します。

実はゼロを狼男にするつもりが、フランネル及びベロアってガルー(狼)だから止めにして、眼帯から海賊になってもらいました。



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