零式小説

□温かココア
1ページ/1ページ


※生理ネタ注意




いつもソファーに寝そべるルシが、その日はまるで気が立った猫のように、丸くなりながらも何処かピリピリするような苛立ちをさせていた。

「何を苛ついているのだ。」
「うっさい黙れ。」
「・・・。」

声をかければ刃以上に鋭い台詞が返ってきて黙るしかない。

仕方無しに様子を見れば、マキナはクッションを腹に抱え、常に身に付けているマントで身を隠している。
しかしその中に僅かな、ほんの僅かな血の匂いを感じ取った。

「(出血‥?しかし、回復魔法を使うことが出来るからそれはない筈。それに‥ほんの数時間前までは普通だった‥。)」

昨日の軍議後からつい数時間前まで、共に休息を取っていたのだから、それから数時間経つまでの時間で何かあったのだろうか。

しかし、ふ、と血の臭いがおかしいことに気付いた。
鮮血の臭いとは違う、何処か生々しい。戦場で嗅ぐようなものとはまた違う、血の臭い。

「(ああ、だからか‥。)」

ピリピリというよりも、イライラが正しいのか。腹を押さえると言うよりも恐らく温めている様子、そしてこの血の臭い。

そうと分かれば、せめて動けないだろう彼女の為に、気付かれたくないだろう彼女の為に、と思った。




「?」

目を瞑って痛みに耐えていたら、暗さを感じて目を開けると、光を背負って見下ろす男がいた。

「淹れてみたが、飲むか?」
「‥飲む。」

カトルが差し出たマグカップから香る、甘い匂い。だるい体を起こして受け取ったのは、暖かい湯気を上げるココア。

熱いそれをふーふーと冷まして一口。少し熱いが、口内に広がる甘さと香りに、ホッ、と心が落ち着いた。

「‥おいしい。」
「そうか。」

空いた隣のスペースに座り一緒に淹れたのだろうコーヒーを飲むカトルに少しだけ寄り添うようにもたれ掛かる。

コーヒーとココアの香り、体を満たす温かさに、気付けば気分も痛みも和らいでいた。



END




**後書き**
カトマキ♀で生理ネタでした。にょマキナは初日はおもい方だと思って書いたった。

月のもの中、ココアとか紅茶とか温かいものを飲むと凄くホッとしてた。

准将は血の臭いに敏感だと思ってる。‥においの違い、あるよね?個人的に想った感覚で書いてるので、わからない方は気にしないでください。

ところで、カトマキを書く時、名前の入れ処がわからなくて困る。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ