零式小説
□悪夢に救いの手を
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※相手はお任せ
どんなに叫んでも助けてくれず
どんなに逃げても追いかけて
優しい筈のあの空間さえ何処か虚しさを感じ
あの少女さえ頼ることをしてくれない
必要とされない故に捨てられて
すべてに違和感を感じてそれが恐怖となり
恐怖がこの身に襲い掛かる‥
────
「‥っ!」
苦しさによって目を覚ますと暗闇で、しかし其処が見慣れた彼(か)の人の部屋だと、彼の人のベッドの中だと理解すると同時に先程のリアルな夢が一瞬脳裏を掠め、思わず肩を抱きその恐怖が過ぎ去るのを待った。
「‥マキナ?」
「!」
隣で眠っていた彼の人は、起きた自分に気付き虚ろな目を此方に向ける。
そして抱いていた肩に爪が食い込んで血が流れていたのを見て彼の人はゆっくりと起き上がり、そして憂満な動きで震える自分を抱き締めてきた。
「‥ぁ、」
彼の人の温もりに震えがだんだんと治まり恐怖が遠退いていく。
「 」
大丈夫だと彼の人は言いきかせ、そして小さな子供をあやすように撫でる手に自然と涙が出てきた。
「‥お願い‥、一人にしないで‥、 ‥」
応えるように彼の人は優しく微笑んだ。
恐怖に駆られた心に流れ込む優しいぬくもりは、まるで差し伸べられた手のように暖かく自然と彼の人の懐に抱かれて、心を救われたように軽くなっていく。
今宵の眠りは穏やかに過ごせそうだ。
END
**後書き**
相手不明な×マキナ。
男でも女でも年上でも年下でも可。
因みにこのマキナやお相手は前世の記憶は持ってないが夢で断片的に視る(ただし夢の内容は覚えていない)設定。