零式小説

□夢か現か
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─また遊ぼう‥

朱い人形たち──‥





───‥



「‥あれ?」

目を覚ましたのはいつもの魔法局のベッドの上。周りには13人の0組の仲間が横たわっている。

「起きたか。」
「マキナ?」

一人横にあるソファに座っているマキナ。
最近何故か感情を出すことがなくなった彼は起きた僕に気が付いて読んでいた本から顔をあげた。

「マザーは?」

手当ての時はいつも居てくれるアレシアがいなくてマキナに問う。

「ドクターはお前達の治療が終わったら外局へ出張に行った。当分戻らない。」

出張なら仕方ない。彼女も忙しいのだから文句なんて言えやしない。

「そうか。‥僕達、何で魔法局のベッドに寝てるんだ?」

次に浮かんだ疑問も問う。気が付いたらベッドの上だが、その前の事が思い出せない。

「ベヒモスとモルボル討伐の依頼を受けて二手に別れて討伐に行っただろ。でもレベルが足りなくて苦戦している所を待機していた俺が双方に出向いて依頼の完遂とお前達の死体の回収をして此処に戻ってきた。」
「‥そ、そうだったのか‥?‥あまり覚えてない。」

両方とも高レベルな魔物だが力を合わせれば倒せる筈と思い二手に別れ討伐に至ったらしい。しかし後一歩及ばず双方全滅してしまった。そこに別の用件で待機していたマキナが駆け付け魔物を倒し全員の死体を回収して魔導院へ戻ったらしい。

「ドクターが“ファントマが少し傷付いていたのを修復したために記憶が少し曖昧になる”と言っていた。」

だからその記憶がないのだろうと説明された。確かにそれより前の記憶はあるからアレシアの診断は正しかった。

「そうか。しかし助けてくれてありがとうマキナ。」

マキナがいなければ死体は魔物に喰われていた。死体すらなくなってしまえば僕達は完全に死んでしまう。純粋に思った言葉を告げた。

「礼は要らない。俺は戻るが暫くしたら隊長が来る。それまで寝ていろ。報告は俺がしておく。」

それを前のように返してくれないマキナに少し悲しく思うも色々してくれるマキナに甘える。

「そうさせてもらうよ。おやすみマキナ。」
「あぁ。」

出ていくマキナの背に言葉を投げ、まだ残る疲労感に瞼を閉じた。







「‥ふふふ、」

暗く静寂が包む朱の教室に、狂気に満ちた声が響く。

「あぁ、何て滑稽だ‥。」

朱のマントを靡かせ教室から裏庭へと出る。
裏庭に出ると朱は白に変わる。
月明かりに照らされるそれは白く光り、猫のように光る両目は金色に輝く。

「次は何して遊ぼう?」

月明かりが僅かに雲に遮られ、次に雲が晴れたときには人影はなくなっていた。


END


**後書き**
猟奇ものの続き‥みたいなものです。
何か救い様無かったから夢オチじみたことにしたら余計に救いがなくなった気がする‥。
なにしたかったのか自分も不明。

因みにマキナはルシ云々の前に一人だけレベルずば抜けてます。←我が家のゲームのマキナLV87、他平均LV45前後です


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