零式小説
□氷の結婚式
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結婚式話
戦争休戦中
あくまで♂×♂です
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厳かな教会の中に白を纏う一人の男の姿が静かに佇む。
身を包む白の厳かな軍装は礼祭時に着用するもので、その風格は男の本来の地位に相応しいものを醸し出している。
差し込む光を浴び男の姿は薄暗い教会で一際際立っている。
遠くの方で鐘の音が福音のように鳴り響く。
そして正面の扉が静かに開き、一人の花嫁が姿を表した。
純白の衣裳に顔を覆うヴェール、飾りに真紅の薔薇を一輪付け、淡い彩りの花のブーケを持つ花嫁はゆっくりと祭壇の前へと歩いていく。
衣裳と対称の鋼色の髪は纏め上げられ普段隠された首元は雪のように白く衣裳と相まって晒されている。
祭壇の前、男の隣へと辿り着いた花嫁はゆっくりと男の方へと体を向けた。
男は花嫁の顔を覆うヴェールを上げその顔を見た。
薄く化粧を施されており、花嫁の美しさを引き立てる様に唇には鮮やかな紅が引かれている。
「美しいな。」
「‥アンタも、格好良い‥ぞ。」
本来の性別で着る筈もない衣裳を纏う少年は、性別すら超越したかのように美しく、頬を赤らめたその顔は精悍さよりも愛らしさが滲み出ている。
祭壇に置かれた二つの指輪を手に取り、男は花嫁へ、花嫁は男の左手薬指へ指輪を填め交わした。
「我、カトル・バシュタールはマキナ・クナギリを妻とし、生涯の伴侶とし、何時如何なる時も、その健やかなる時も、病める時も、‥そなたがルシとし感情も自我も無くなり、人となくなろうとも、生有る限り、否、この魂がエトロの元へと向かおうとも、マキナ・クナギリを愛することを誓う。」
決意を滲ます隻眼の瞳を見つめ、少年も誓う。
「私マキナ・クナギリは、カトル・バシュタールを夫とし生涯のパートナーとし、その健やかなる時も、病める時も、‥私がルシとし感情も自我も失い、この身この魂をクリスタルに捧げることになろうとも、貴方が先に逝ってしまっても、“マキナ”の心はカトルを愛することを誓います。」
そして誓いのキスを交わし、人と人ならざる二人は永久の愛を誓いあった。
END
**後書き**
本当は現パロとかマキナ女性化とかでやったほうが良いかなぁ?と思ったけどやはり特に変えずにやってみた。まぁ一応休戦中と言うことで。
参列者を交えても良かったんだが収拾つかなくなるのがオチなので二人だけの結婚式にしました。
後日談とかはいずれ書いてみたい。