その他小説

□外交特権*特殊成功例*
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我が家の盗賊ギルドマスター兼アークメイジアルトマードヴァーキンによるクエスト“外交特権”です。
サルモール贔屓です。

最初マルボーン編・中盤オンドルマール編・終盤ドヴァキン(+α)編です。
ドヴァキン編はギャグ寄りな気がする‥。

オリジナル設定多数有り。
────

“共通の友人”の紹介でやって来たのは憎きアルトマー(ハイエルフ)である冒険者だ。
アルトマー特有の輝く肌の顔には、まるで血のような赤黒い手形の戦化粧がまるで口許の表情を隠すように彩られている。

彼に渡された荷物は少ない。サルモールのフード付法衣と手袋とブーツといくつかの薬のみ。それは彼の種族故に忍び込むことは変装だけで容易なことなのだろう。

だが、手筈は整えていると言うのに一向に彼は行動を起こさない。

男性招待者には握手を、エレンウェンやソリチュード・モーサルの首長、リフテンの有力者等には恭しく跪き手をとってその指先にキスをするなど、どこの優男かと目の前に立つ兵士すら眉をしかめる音がするほど睨んでいる。
ブランデーを頼み、飲みつつ挨拶を交わし、会話を楽しみ、料理を堪能する。

大いに楽しむ彼は、明らかに騒ぎを起こしかねない男に酒を渡してからは、殆どオンドルマールと言うサルモール高官と話している。しかし酒がなくなれば給持を呼び、小腹が空けば立ち上がり料理の方へと向かい食べ、他の招待者と楽しげに歓談し、そしてまたサルモール高官と話す。

そして、その内エレンウェンとその高官と共に奥へ消えていった。


「マルボーン。」
「はい‥っ!」

その後、私は拘束された。




息を飲んだのは確かだった。実際の身分からしたら此方の、上官筋のエレンウェンよりも更に上である筈の彼が、まさかこの晩餐会に招待されていたとは誰が思うのか。
まして、血と銀の流れる石の街で出会った際に、“ギルドの仕事”で訪れた彼に、その仕事を依頼したのはつい先頃で。そして風の噂で極寒の魔術師大学のアークメイジになったのもその頃だ。
そんな彼が顔の戦化粧を隠さず堂々と嫌う筈の上等の衣装を身に纏い現れたのだから、驚くのも無理からぬことだ。

大いに楽しむ彼とようやっと初対面を装い会話に至れば、彼の身の上から始まり、現在の“仕事”と傭兵について。そして、今について。

「ドラゴンの復活」
「ブレイズ」

その言葉をエレンウェンに耳打ちした彼と共に部屋から出て行き、その部屋でまさかドレモラを召喚されるとは思わなかったが、そのドレモラに指示し還した後、今度はエレンウェンにカトラ農場へ早馬を出すようしてもらう彼は、正しく彼の一族を彷彿させる。

その後、ドラゴンに関する情報と密かに捕らえていた捕虜の解放を条件に、長年サルモールが追う宿敵の情報とラットウェイの捜索を提供された。






薄々は勘づいていたが、各知人等が居るとは思わなかった。それでも“此方”の身分を公にしなかったのは彼等に後ろ暗いことや関係深いと悟らせまいとするためか、言ったところで従士以上の身分が“スカイリム”に有るとはわかるまい。事実、エレンウェンとオンドルマールという高官職であり且つ“家名”を知る者でなければ只の知古なのだろうと他の高官達は見向きもしなかった。


『あやつ等をどうするつもりだ。』
「捕まればそれまでさ。だが、逃げれば逃げるほど行方はリークしてやるけど。」
『ドラゴンについてはどうする。』
「グレイビアードに聞けばわかるだろうさ。最初から師匠等に聞けばよかったな。」

まるで内を確認するかのような異形に答えるのは単なる確認だ。ドラゴンの復活について、明らかに関係ないだろうサルモール大使館の潜入など、彼女がただサルモールに被害を出したいから送り込んだとしか思えない。あるか解らない目論みなど、参加者やホスト側の此方側に好都合な人員では意味は成さなかったが。

それにあれは思いもしないだろうが、親兄弟はおろか嘗て婚約していた愛しい人を虐殺されたのだから、このくらいの報復など爪の先程の意味もない。感情の赴くままに仕向ければ、紅き酔いどれ王子と狂乱の王子が楽しむ光景しか浮かばない。しかしそれをしないのは、万が一にも此方の意図を気付かせるつもりが毛頭もないからだ。


“内通者”とリバーウッドに預けていた荷物を、半ば無理矢理従属化させたドレモラに取りに行かせ、晩餐会は御開きになりサルモールから出してくれた屋根付馬車に乗りリフテンへと向かう。
道中で戻ってきたドレモラにくすねておいたコロンビアン・ブランデーや料理を分けてやり、残りは傭兵への土産だ。

「オンドルマールの言ってたブレイズの残党の洗い出しもしなきゃだが、そこは口八丁でどうにかなるさ。」

恐らく、迷い迷いにさ迷ったラットウェイの最深部に居た変人だろう。頭がおかしくとも、ブレイズやデルフィンの名を出せば何かしら反応を見せる筈だ。


「ああそうだ。代わりに伝えてもらったが、何か言っていたかい?」
『そのままリフトへ向かうと伝えれば、共にリバーウッドへ戻ると言っていた。只し、後で覚悟しておけ。と。』
「怖い怖い。まぁそこでサルモールとかち合っても、住民の方は彼が守ってくれるから大丈夫だろうね。」

金で雇った傭兵と言えど、此方の意図を容易に把握してくれるダンマーは、望む通り以上に動いてくれる。場合によっては村民を巻き込む殺傷沙汰に発展しかねないが、それでも住人の避難を優先してくれるだろう。まぁ、その後のお仕置きと制裁が物理的にも精神的にも恐ろしいのだが。


『ところで主よ。』
「ん?」
『そろそろウィンターホールドの方に赴くようにとそなたの同期のダンマーが言っていた。』
「あぁ‥。コレット女史に回しててもやっぱりそこまで持たないか。」

逃げ場の無い馬車の中で耳に痛いことを告げられ肩を竦めながら、積み上げられてるだろう紙の塔が浮かぶ。しかし残りはアークメイジの決済待ちのものだけだろう。副官をかってでてくれた同期は優秀だし、更にその補佐をしてくれているノルドの同期もまた優秀だ。カジートの方は書類整理はしてくれないが、回復魔術担当ウィザードに書類をスリ渡すために色々動いてくれてるから良しとするべきか。部屋の酒類をくすねるのを黙認するがほぼ彼への報酬と化してるが。

「リフテンの洗い出しが終わったら行くと伝えてくれないか?」
『・・・少なくとも一月の間には立ち寄るだろうとは伝えておく。ギルドマスターの仕事も溜まっているからな。』

またも聞きたくないそれを言われ、アカヴィリの諺のように耳を塞ぎそっぽを向いた。
魔法の光が車内に輝くと共に、異形は消えた。

「‥まぁ、今更黴の生えた骨董品なんて誰も見向きもしないし、剣や盾なんかにもならないなら、消えて然るべきだろ?」

サルモールに捕まる(拷問)か、はたまた野たれ死ぬ(何処かの賊に捕まり凌辱)か、宿敵であるドラゴンに喰われる(死体すら残さない)か、もしくはいずれ手を下す(四肢切断に両目抉り出し等生きたままジワジワいたぶる)か、そんな俺からしたらサングインやシェオゴラスを召喚する勢いで狂った狂喜を呼び起こしかねない末路を描きながら、幾つかくすねてきたシロディール・ブランデーを取り出す。


貴女の輝かしき暗き未来に乾杯!


END


**後書き**
マルボーン編はほぼゲームに沿ってる内容で、オンドルマール編とドヴァーキン編は完全捏造。束縛されてないドレモラが驚くほど不憫。ドヴァキンのパシリ。
てかオンドルマールは喋ってない。

補足
我が家アルトマードヴァキン♂はアルドメリ自治領内の超エリート家系で親兄弟婚約者がいる家族仲良好な絵に描いたような良家出身者でした。しかし大戦の際、ブレイズに親兄弟はおろか婚約者すら虐殺された過去を持つ。
当時ドヴァキンは他国に居たため難を逃れたが、待っていたのは全て破壊された屋敷と血にまみれて逝き絶えた一族と婚約者の姿だった。
そんな事とは知らずにメインクエストを進めてブレイズの某BBAの態度にぶちギレてサルモールの伝を使って追い詰める気満々。ブレイズ絶対殺すマン。

ちなみにコイツ、別にストームクロークや帝国に興味は無い。タロス?正直ドラゴンボーンじゃなきゃ加護受けられないのによく崇拝するよな。としか思ってない。

この後リフテンに戻った後仕事をして、合流した傭兵と大使館の事を聞いた副リーダーにめちゃくちゃお仕置きされた。




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