その他小説
□安心する音は‥
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久しぶりに彼と出会ったら突然抱きついてきてかれこれ数分が経った。
引き剥がそうとしても離れず名前を呼んでも何も答えない。
「(どうしたんだろう‥)」
「‥ブラック君」
「ん?」
やっと口を開いたN。でもまだ抱きつかれて顔は見えない。寧ろ腰に抱きつかれていて苦しい。
「どうした?」
「・・・」
名前を呼んだと思ったらまただんまり。更に抱きついてくる力が強まる。
「N?」
「‥何故だろう」
「?」
抱きつきながら小さく呟くN。小さすぎるが至近距離にいる僕にはちゃんと聞こえる。
「トモダチとこうしていても落ち着くけれど、君とこうしていて君の心音を聞いていると何故か凄く安心するんだ。トモダチとは味わえないこの安心感、凄く、興味ある」
いつもの早口だが抱きつかれている僕には分かる、Nの声が少し震えていた。
ふと、最後の戦いでゲーチスがNに、僕達に言った言葉と昔母に自分がこうしていた事を思い出した。
そして未だ抱きつき、更に肩を震わしているNの背中に腕を回しあやすように軽く撫でる。
「Nは知ってる?」
「‥何をだい?」
「人間の心音って人が一番安心する音なんだって。胎児の頃に母親の体内で聞いていた音だから、なんだって」
「‥そんな数式で表せない不可思議なもの、信じられないね」
理解できないとNは否定するが震える声だけは消えた。
「‥もう暫く、こうしていても良いかい?」
「うん、良いよ」
少し苦しいが彼がここまで安心しているからもう少しこうしていよう思った。
**後書き、というか懺悔**
こっ恥ずかしい!!ほのぼのイメージして書いてみたがどうだろう‥。てかN主♂を書こうとしたら何故か主♂N風味になったような‥。
時間枠は恐らくエンディング後だと思う。
日記に投げ込んだものと微妙に変更しました。