その他小説

□ドーンスターの悪夢*カジートキャラバンの場合*
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ホラー&グロ注意



「買い取りを頼めるか?」

いつもドーンスターで商売をすると、今ではドヴァーキンと知られる盗賊ギルドの者が、スカイリムでは珍しいキチン装備を纏う恐らく傭兵思われる者と共に現れた。ドヴァーキンはアハカリとザイナビに品物の売買をするお得意様だ。‥もっとも、ザイナビには盗品や付呪された装備などをザイナビの所持金ギリギリまで売ったり、アハカリとは極たまに仕入れる宝飾品を買ったりするか品揃えを見ただけで立ち去るかだが。

買い物が終わってドーンスターの中に入っていくドヴァーキンと傭兵を見送り、ザイナビは先程買い取った装備などをチェックし、アハカリは常のようにテントの入り口に座り街道を歩くペイル衛兵を静かに見守る。



「アハカリ、魂石はあるかい?」
「魂石?ああ、幾つかあるわ。」

先程の装備は使い込まれた跡があり、魔力の充填をするために魂石を必要とする。容量からして極小魂石の小さい魂で十分のようで、ザイナビはアハカリから魂石を譲ってもらおうとした。

「あら?魂石が一個も無いわ?」
「何だって?」
「それ処か、薬も付呪された武器や防具も無いわ!」

アハカリが肌身離さず持つ鞄を覗き込めば、子供の人形や木剣、鍋や鉄製武器防具等しかなかった。

「そんな!確かにあったのに!」

普段から弱気な発言しかしない彼女だが、商品の仕入れや管理はリサードが認めるほど良く出来ている。だから、こんな不備を起こすなど、まずあり得ない。

それに、つい先程ドヴァーキンと共にアハカリの仕入れた品物をキャラバン全員が目にしている。

「どうしてなの?何でなのよ‥!」

無くなった品物は魂石の他、付呪付武具や鉱石宝石、薬や毒類、終いにはムーンシュガーやスクゥーマ等でけして衛兵に捜査を頼むわけにはいかない。
落ち込む彼女を慰める言葉など、今のキャラバンの者達にはなかった。



「どうかしたのか?」

戸惑うアハカリやキャラバンの元に、ドヴァーキンが先程と同じく傭兵と共に現れた。
泣き崩れるアハカリに首をかしげ、慰めようとするキャラバンに困惑していた。

「アハカリの鞄から、品物が盗まれたの。」

ザイナビから聞かされた言葉に、ドヴァーキンは目を細めた。

「貴方も、確かに品物があったのは見たわよね?それが、無くなってしまったの。」
「‥そうか。」

悲しむアハカリの前に膝を付き、その肩をポンと叩くと項垂れていたアハカリはドヴァーキンを見上げる。その顔は安心しろと言わんばかりの優しい笑みで、アハカリを見ていた。

「大丈夫。安心しろアハカリ。」
「‥ごめんなさいね、こんなとこを見せ‥」


変なところでアハカリの言葉が途切れた。

「な、に‥?」

パタタ‥、と雪の上に真っ赤な色が彩られルと共に見慣れた頭も白の上に転がった。


「何をするんだ!」
「誰か、助けて!」


ペイル衛兵は、決して助けてくれないのは解っているが、助けを求めるキャラバンは、辺りを血の海に染め、生き絶えた。






「あら?」

浮上した意識に周りを見渡せば、調理鍋をかき回すザイナビに火に薪をくべるドロマラシ、辺りを警戒するカルジョ。
至っていつも通りの平和な様子に、白昼夢でも見たのかと思った。徐に鞄の中の商品を見れば、つい先日仕入れたばかりの付呪付の武具や魂石に薬など、たくさん入っている。

安堵したアハカリに、暗い影が降りかかった。


「買い取りを頼めるか?」

お得意様であるドラゴンボーンが、どこか見覚えのある武具を持ち、いつもの笑みを浮かべて現れた。



その様子を傭兵は顔を覆うキチンの兜越しに見て、ああ、またか‥。と、ため息を吐いた。


そしてまた数分後に、赤い色が雪を染めるのは、ドヴァーキンと傭兵しか知らない。


END


**後書き**
スカイリムで有名な、ドーンスターの秘密の宝箱バグと商品リセットバグを書いてみた。

主人公とその従者的な意味でセーブ&ロード時の前後の記憶を持つドヴァーキンとその従者(傭兵)です。
ドヴァーキンはネタ帳に書いたドヴァキンズではなく新たなドヴァキンです。名前は有るけど一応皆様のドヴァーキンに重ねたいために敢えてドヴァーキンに固定。
キチン装備の傭兵=テルドリンさんなのは趣味です(笑)

ドヴァーキンと従者及び傭兵達(追従時)はオブリビオンかエセリウムの干渉か何かにより、セーブ&ロードの前後記憶がある設定。

敵対するよりも白昼夢的に出来そうなので、キャラバンには申し訳ないが転がさせてもらいました。



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