竜探求物語

□君に告げて未来を変える
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願望が溢れてこうなった。
盛大に表ED後ネタバレ注意。
カミュ主+グレ→ホメです。決してグレ(←)主ではないです。見ようによってはそれっぽいですが違います。今のところグレホメでなくグレ→ホメです。
カミュ主だけどカミュ→←主って感じ?勇者のメンタルおかしいバグってる。

書きたいことだけ書いた駄文ですので、そこんとこご容赦ください。

合言葉は“ご都合主義”
我が家主人公:レヴィン


────


時のオーブを壊して“あの時”に戻った。そして“あの時”僕らを守って死んでしまったあの人と再会して、紡がれた“あの時”よりも前の、皆と再会した。


始祖の森のキャンプ。
双子の会話を聞きながら、“あの時”を思い出す。

皆が寝静まって、森の音が占めるだけの静寂の中、レヴィンは焚き火前に座った。
その手には、禍々しい大剣。凡そ彼には不相応なほどの威圧を持つ大剣は、しかしこれから起こりうる分岐に大切なものだ。


そして、頭に過ったのは、その後仲間になるだろう彼の、彼と双璧との対峙。

“あの時”垣間見た大樹の記憶は、穏やかな、しかしすれ違っていく二人は道を違え、男の末路は哀しかった。

恐らく、いや‥、彼は悔いていた。
“あの時”の最終決戦後の宴の中、酒を飲んでいた英雄がポツリと溢した。

『もしあの時に戻れるなら、俺は彼奴にはっきりと言ってやりたい』
『俺は、お前の後ろに居たのだと』
『お前と共に歩むために武を極めたのだと』
『共に、国を護りたかった。そして‥、』

あの最後のように、居ない彼にか自分に言い聞かせるように吐く彼を見て、“彼女”の様に、生きていてほしいな、と、一連の彼の行動があったのに、ふと思ってしまった。

仲間達が彼女へと思いと同じくらい、彼の思いも強かった。それを見た自分にとって、思いは一緒だった。

例え‥、故郷を壊し、仲間を捕らえ、無関係な人々を傷付けた人であろうと‥、助けたい。

無意識に、“あの時”見た夢と、祖父の言葉を思い出した。



「眠れないのか。」
「カミュ‥。」

声を掛けられ内心驚く自分に、カミュは隣に座った。

「明日にはいよいよ命の大樹に行くんだもん。緊張しちゃって「ダウト。」‥え?」

誤魔化すためについた其れは、すぐに否定された。

「ひっでぇ顔。そんな顔して、それが緊張や武者震いの類いじゃないのは、俺にはすぐわかるぞ。」
「‥っ、」

出逢ってから、他の仲間よりも自分のことを自分よりも解る相棒は、“あの時の相棒”と同じであり、違う。
でも、やはり彼なのだと、時を超えても尚、好きな彼なのだと、改める。

「‥何を考えてるのか知らないが、それは一人で抱えることか?勇者の力や、そのゴツいのに関係することだろ?」

目を放した数分に何処か雰囲気を変えて現れたレヴィンが持っていた、禍々しい大剣。あまりに趣味が悪い其れは双子曰く勇者の対極の其れらしい。拒絶がないならば、害もないだろうが。

「カミュ‥、」
「別に全部話せとは言わないが、其れは俺達‥、俺にすら言えないことか?」

悲しさと、僅かにピリッとする空気が漂う。
雄弁に、頼り無いか。一人で背負う気か。と語りかけるようで。

多分、耐えられなかったのだろう。

「‥ねぇカミュ。頼みがあるんだ‥。」







翌日
始祖の森最奥の祭壇にオーブを掲げ、虹の橋を渡って命の大樹に辿り着いた。

「これが、勇者の剣‥。」

誰の呟きなど解らないほど、皆その神々しいながらも畏怖すら感じる勇者の剣が安置される力の塊を眺める。

「さぁレヴィン。」
「うん‥。っ!」

促され剣を手にしようとした、瞬間。フラッシュバックする“あの時の記憶”。
直後、禍々しい力を感じて、レヴィンは背負う大剣を抜き、攻撃を弾いた。

「貴様!何故!」

現れたのは、邪悪なオーブの様なものを持つ、知将。

そして“あの時”とは違い、不意打ちを受けること無く、打ち勝った。

「がぁ!!」

レヴィンの一撃がトドメとなり禍々しい結晶は破壊され、ホメロスは地に伏した。そして役目を終えたように、大剣は壊れた。

そして、“あの時”と同じように、しかし何事もないような王と、惨状を見て動揺した英雄騎士が現れた。

「ホメロス!」
「っ‥、」

倒れ伏す双翼の片割れに、しかし彼等に対する不穏分子である“悪魔の子”がいる故に駆け寄れず、王の側に留まる。

「くっ‥、」

辛うじて意識を保つホメロスは、最早立つことすらままならず這って王の元へ行く。

「王よ、助けて下さい‥。力を‥!」

自らの王に助けを乞うホメロスに、レヴィンは何故か背筋が凍る気がした。



ガキィイン!

「っ!」
「おいおい。幾らなんでもその軌道は、こいつを殺す気か?王様?」

一瞬で両者の間に入り込み、助けを乞う男にとどめを刺そうとするその剣を受け止めたのは、カミュだった。

「な、何故‥っ、ぐ‥、」
「ホメロス!」

先のダメージとどちらに対する驚愕により力尽き意識を失ったホメロスに駆け寄ろうとするグレイグはしかし、己の立場が良しとしなかった。

「何故、その者を庇う。人民をたぶらかし、世を乱した悪魔の手先だ。」

不機嫌に、しかし威厳ある声は王の言葉。威圧されそうな眼差しを受けても答えるのは勇者とその相棒。

「僕は、幾ら僕の命を狙った人でも、死んでほしくないっ!」
「我らが勇者様の願いでね。それに、ただ死んでハイ終わりじゃダメだろ。あんたんとこの騎士なんだから、そこら辺の然るべき事ってのはあるんじゃねぇのか?なぁ?英雄さん?」

双翼の片割れを心配する英雄に言えば、何とも言えない、しかし王の行動に戸惑うしかなかった。

勇者の感情論を理解した相棒は、しかし優しすぎる彼に呆れはしたが、どちらに対しても怒りは沸かなかった。例え命を狙われ関係ない者を傷付け人質にされたとしても、勇者の考えを優先し、意図が解らずとも叶えてやり、協力した。

「情けをかける気か?」

尚も眼は、“王”は侮蔑を含ませる。

「違い、ます。でも、それが彼の意思か、そうでないのかを聞く機会を設けても良いじゃないですか。死をもって償うなんて、話し合う機会すらもてないなんて‥、幾らなんでもあんまりですっ‥!」

数秒のにらみ合い。
誰もが取り繕うと思うなかで、沈黙を破ったのは“王”だった。

「・・・わかった。なれば後日其奴を軍法会議にかけるとしよう。」

そして、王に促されるように、勇者の剣を手にしたレヴィン。勇者の剣を手に取ろうとする王は、しかし何かに阻まれ、其れを断念した。

「グレイグ。其奴を拘束し、わしの視界に入れるな。
わしは城に戻る。ささやかながら、宴を用意しよう。後程、デルカダール城へ来ると良い。」

そうして引き下がった“国王”は、グレイグを伴い去っていった。





「‥っ、」
「レヴィン!」
「「レヴィン(ちゃん)(様)!」」

デルカダール王の気配が去り、威圧と緊張感で張り詰めていた糸が切れ、ガクリと膝をつくレヴィンを相棒が支える。

「‥良かったのか?此れで。」
「‥うん。ありがとう、カミュ‥。」


“あの時”の最悪を退けられ、失うことがなくなり、ふと、育ての祖父の言葉が、夢で見たかつて母の言った言葉が甦っていた。





『頼みがあるんだ。』
『大樹の元で、もしかしたら、誰かが傷付くかもしれない。その時、敵でも味方でも、助けて欲しいんだ。』

昨夜、改まって言われた彼の頼み事。
誰を指すか等解らない曖昧な対象を怪訝に思いながら何故と問う。

『‥言えない。でも、誰かが傷付くのは、悲しむのは‥、もぅ‥見たくない‥。』

そう答えられれば、自ずと空白の時間が頭を過る。
たった数分目を離した隙に何処かに居なくなったこいつは、だが数分前と変わっていた。

頭の悪い自分でも解るのだから、勘のいい旅芸人や気配に敏感な老人や姫さん、魔力に長けてる双子などは簡単だろう。

しかし変わっただけではない気もした。
わからないが、あの、彼の故郷の惨事を見た時のような、纏う空気に雪国の寒さ厳しい日のような、張り詰めた何かを感じたのは、たぶん自分だけだ。

『‥わかった。なら最後に、約束しろ。』
『約束?』
『“今”のアンタが抱えてるもの。それを、いつでもいいから教えてくれ。』
『っ!』
『アンタは分かりやすすぎるが、見ていて憶測たてるより、お前の口から聞きたい。今が無理なら、ウルノーガを倒して平和になってからでもいい。』

できればその変わった雰囲気の理由を、今すぐにでも聞き出したい。だが、ここまでになっているコイツに無理を言うのも無理だろう。時間を空ければ、心の整理もつくだろう。

暫く長考したのち、レヴィンは頷いた。

『分かったよカミュ‥。‥今は、無理だけど‥、ちゃんと、言うよ。』
『ああ。待ってるぜ。』





「約束は、守ってくれよな?」
「うん‥。」
「ま、今はコイツを取って、デルカダールに行くか。」

多くを聞きたい仲間を尻目に、勇者を支え、仲間を促す。
今は、彼が望んだ未来を進んでいこう。


その先に、既視感を更なる闇を待つことを知らず。




END



**後書き**
ホメロス救済のために先走ったためにまとめ方がわからなくなった馬鹿です。
書きたかったのは時渡り後の始祖の森のキャンプ地でのカミュ主のやり取りと、ホメロスを殺さないためにパーティ内随一の素早さを誇るカミュに動いてもらう事と、メンタルバグり勇者です。

異変時に命を大半失ったためにメンタルが弱り、各地で仲間や世界を助けていく内に悲惨さや現状のショックが重なり、救済のための時渡りでバグった。
経験はあれど、助けられなかった命が助けられるためにメンタルがおかしな方向にいってしまって何かおかしい勇者が出来上がった感じです。


前作よりもバグって泣きまくってる勇者って誰得だ‥。



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