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□やっぱり好き
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「ルシアン、元気?」
僕の元へリンゴ片手にやって来たのは、ジョシュアだった。
「リンゴ!」
「今食べる?」
「もちろん!やっぱりジョシュアは優しいなあ」
この前、先輩にやられて寝たきりになった僕は、あと2日間ここにいなくちゃならない。
こうしてジョシュアやティチェル、たまにマキシミンなんかが見舞いに来てくれるから、それは良いんだけど…。
僕にはひとつ、気がかりな事があった。
「ねぇ、ジョシュア…」
「んー?」
決して上手とはいえない手つきで、ジョシュアがリンゴの皮をむいていく。
僕はそれをぼんやり見ながら、毎日3人のうちの誰かに聞いている質問を繰り返した。
「…ボリスは?」
「………」
また、答えてもらえないのかな。
ボリスはもうとっくに謹慎生活を終えているはずだった。
でもいくら待っても、ボリスが僕のところに来る気配はない。
みんなにはたったの2、3日なのかもしれないけど、ベッドの上で何もできない僕にとっては、とても長い時間だった。
「ちぇ。何で誰も教えてくれないの?
ボリスもボリスだよね。僕に、僕に…」
わざといじけ気味に話しているうちに、何だか悲しくなってきちゃった。
目に涙が溜まって、頬を伝う感触があった。
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