BM

□舞い降りた天使
1ページ/1ページ


ぽつりと、藤丸が呟いた。
「てんし…」
腕の中にいるはずなのに、自分を見ているはずなのに、なぜか遠い。
不安になって瞳をのぞき込めば、残念そうに「あ…」と呟いた。
「どうした?」
「消えた」
柄にもなく安心した自分がいた。
天使とは、藤丸を連れて行ってしまう何かなのだろうか。それとも幸せを運んでくる何かなのか。
「なあ……」
もぞもぞと動きながら藤丸が言う。
何かと思えば、背中に手を回された。
「俺、みんなを守れるのかな」
遥を、父さんを、あおいを、英を、アンコを、
「お前を」
守れるのかな。
ああ、柄にもないのは藤丸も同じか。珍しく弱気、珍しく…。
「俺も守るよ」
ぎゅうっと抱きしめ直してそう言えば、嬉しそうに笑った気がした。
「音弥ぁ…好き」
「俺も、好き」
天使や何かにどこかへ連れて行ってほしいのは、俺の方かもしれない。
「なあ、藤丸…」
呼べば、んー、と気の無い返事をされる。
「二人でどこかへ飛んで行けたら良いのにな」
沈黙。さして気にもせず藤丸の顔をのぞき込めば、左目から静かに涙を流していた。
「ふじまる…」
何を、泣いている。
「…ばぁか」
ふわり、と笑って、藤丸はそのまま眠りに落ちた。


やめてくれ
俺は弱いから
お前に言われたら
本当に逃げたく
なっちまうんだ

音弥…









あとがき

暗っ!
すみません、最初は甘くするつもりだったんです…。
いやあの、今日5000hitを確認したのでこれはいけない!と思いまして…携帯に保存してあったのをパパパッとやっつけました。
なんか続けたい感じになっちゃいましたね。続くかなー?

それではお読みいただきありがとうございました。

11/30 明石

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ