06/13の日記

03:46
雨と太陽と・瀬戸内
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「梅雨入りで仕方ないとは言え、こうも降り続けられちまったら気が滅入るぜ•••な、元就!」

「フン、じめじめと黴ている貴様が居なければ梅雨などまだマシぞ」

「ひっでえ•••カビって言うなよ、日輪が見れなくて鬱屈してる元就を励まそうと土産を持って来たのによぉ」

「ならその土産とやらを置いて帰るが良い•••我は貴様のように暇では無い」

「そう連れねえこと言うなって、時間は取らせねえからよ!」

「貴様が来たことで既に我の手を煩わせている」

(こいつはマジで機嫌悪いな•••まぁ、昔と違ってすぐに返事してくれるだけ嬉しいけどよ)

「•••なんぞ文句でもあるとでも?」

「いや、美人は怒った顔もかわ•••」

ビシッ!!

「ふむ、湿気を払うために久しぶりに我が采配を振るうとするべきか•••で?先ほどは何かを言いかけたようだが、何ぞ?」

「•••ナンデモゴザイマセン」

「ならば良い」

(絶対今のは揮うの意味が違うよな•••間違いなく俺に向かってハタキを叩きつけるっつー意味の、振るって言うか払うってやつだよな•••!!)

「•••それで、土産とはなんぞ?」

「よくぞ聞いてくれたな元就!ほら、この包みを開けてみてくれ!」

「•••機巧ではなかろうな?」

「変な物じゃねえって!•••って俺のカラクリを変な物呼ばわりすんなよ•••」

「•••む?」

(まさかの無視•••!あ、でも自由過ぎる元就もやっぱ良いな•••)

「これは•••生菓子?」

「おうよ!元就、甘味好きだろ?だから今の時季に流行っている四国の銘菓を厳選してここまで持って来たんだぜ!」

「•••ふん、貴様にしては良い働きぞ」

「だろ!?ちなみに今回は紫陽花を趣旨にした物を集めて来たぜ!」

「なるほど•••道理で様々な色が使われているわけか」

「もっと褒めてくれても良いんだぜ元就!!」

「うるさい」

「•••一蹴かよッ•••」

「ところで、これは何の素材で出来ておるのだ?」

「え?あー•••わりぃ、忘れた」

「•••馬鹿親、こっちへ来い」

「な、なんだ?」

「口を開けよ」

「は?なんで•••もごぉっ!?」

「•••••••••」

「げほ•••っ!おま、ずぼって•••いきなり何しやが•••!」

「味はどうだ、馬鹿親」

「味?•••もっちりふわふわで仄かな甘みがあって美味い」

「そうか、美味いか•••ならば我も食すとしよう」

「って俺は毒味かよ!?普通に感想聞けよ!」

「ならば聞くが、貴様はこれを食ったことはあったと?」

「•••い、いや•••元就に1番に食わせたくてまだ食ってなかったけどよぉ•••」

「やはりな•••その理由はともかく、1度も食べたことの無い物を我に勧めたということか」

「ゔっ•••す、すまねえ」

「•••まぁ良い、我の目を楽しませたこの生菓子に免じて許してやろう」

「••••••!!」

「丁度、政務が一区切りついたところに来るとは•••運の良い奴よ」

(に、にこって•••元就がにこって、俺に笑いかけて•••ハッ!?よく考えればさっきのは乱暴だったけど俗に言う、あ〜んだよな!?な!?)

「•••ん、貴様の言う通り仄かな甘さがあるな•••それに、餅のような独特な食感なのにつるりと舌触りが滑らかぞ」

(うおぉぉ•••やべぇ、嬉し過ぎて顔があちぃ•••まともに元就の顔が見れねえぇぇ•••っ)

「•••?何をしておる貴様」

「いや•••やっぱお前は日輪の申し子だって改めて実感しちまってよ•••っ」

「•••よ、よくわからぬが•••我が日輪の申し子だと再認識することは良いことぞ」

(あぁぁ•••マジで可愛過ぎだろ!流石は俺の太陽だぜ•••!言ったら間違いなく爆破されるから言わねえけど!!)

「•••褒めてもこれは返さぬぞ」

「おう、元就が全部食べてくれよ!俺は生菓子を美味そうに食べる元就を見るだけで幸せだからな!」

「安い奴よ•••だが」

「•••?」

「•••悪くはない、か」

「!!そ、それって•••」

「うむ、手駒にするには良い奴よ」

「•••だよな、きっとそう来ると思ってたぜチクショウッ!!」

(好き好んで我と居る此奴もそうだが•••それを許す我も、甘くなったものぞ•••)

「くっそぉ•••次は絶対に元就に甘い言葉を言わせてやるぜ•••!」

「•••ほう、貴様は我からの甘い言葉が聴きたいと申すか?ならば•••」

「ま、待て待て!お前の言う甘いと俺の言う甘いは多分•••いや絶対意味が違うから言わなくて良い!」

「•••ちっ、気づいたか」

「おま•••ったく、油断も隙もねえぜ•••まぁそこも好きなんだけどな!」

「ふん、いつまで貴様のその強気が続くか見物よ」

「言ったな!?いつか絶対、政宗や幸村の2人がしてるみてえに、元就の方から俺にイチャイチャして来るようにしてみせ•••」

「それは無い」

「•••っ、せめて最後まで言わせてくれたって良いだろぉ•••ッ」

「ふん、貴様は我の手の平で踊っているのがお似合いぞ」

「またそういうことを言う•••っ!」

ぐいっ!

「それが嫌なら、せいぜい我を智略で超えてみせることだな•••貴様に出来れば、の話だが」

「んぐむぐ•••っ」

「フフ•••」

(生菓子美味え•••じゃなくて!上手く誤魔化されちまってんじゃねえか俺•••!くそ、こんなんじゃいつまで経ってもイチャイチャ出来ねえよ•••ッ)

「〜♪」

(•••でも、たまにはこうして元就の手の平で踊るのも悪くねえかもな•••今の挑発するような顔と声、思わずドキッとしちまったぜチクショウ•••//)




〜おわり〜

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