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□拒否権はキミに有り
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「成歩堂。スプーンはどこだ?」
「あー、そっちの棚の小さい引き出し。」
久しぶりに二人してティータイムなんてボクにとっては嬉しすぎるんだけど、御剣の表情はいつもと何もかわらない。
「御剣、お前はなんていうか、氷の仮面でも着けてるのかな?」
「………キミこそ何だ、そのだらしのないニヤけた仮面は。」
仮面じゃない、これは有りのままのボクだ!と力強く言おうとして、止した。
「御剣はさ、いつも表情と感情が連動してないよね」
「そうか?…あまり深く考えた事は無いが。」
だって嬉しい事があっても無表情。
嫌な事だって、大抵一人で我慢してると思う。
「キミは表情と感情が連動し過ぎだな。せめて法廷では引き離したまえ。」
「良いだろ、感情豊かなのがボクの売りだから」
「それでは私が不感症のようだ」
「違うの?近いものがあるだろ」
紅茶を二人分、テーブルに置き、何故か御剣はボクの隣にぴったりとくっついて座る。
「……御剣、近くない?」
「……そこまで言うなら、証明してみせよう。」
「?」
「私が、不感症ではないと」
…………?
瞬間。
やわ、と唇に何かが触れて。
次に気付いたら、御剣は顔やら耳やらを真っ赤にして隣に座っていた。
「み…みみみ…御剣ぃ!???」
「………どうだ…?私だって…///感情を顔に出す事くらいっ…」
フイっとそっぽを向いて、本気で照れて居る。
「うん。よぅく分かった」
「………なら、よかった」
チラチラとボクを見て、ニコリと笑う御剣…。
「御剣っ…!!!可愛すぎるんだよお前は…だから今すぐ抱かせろっ」
「断る!!!」
まあ、さ。
本当は体を張ってまで教えてくれなくたって、御剣が感情豊かな事は、誰よりもボクが知ってるんだけどね。
fin