*.Mininovel

□髪、そして君の纏うもの。
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「時任ー、」

「ん〜?」

「ちょっとこっちおいで?」

「…なんもしねぇだろーな…?」
「酷いなぁ〜(苦笑)何にもしないって」







…トテトテ。

…ドサッ。




「で、なんだよ」

「いやぁ、髪綺麗だからさぁ〜」
「…それだけ?」

「それだけ」

「で呼んだわけか」

「うん、そのとーり」








…サラサラ

…サラサラ





「…久保ちゃん」

「ん?」

「眠くなってきた…」

「あら」

「久保ちゃんのせいだ」

「俺?」

「そう、久保ちゃんのせい。髪梳かすから…。睡魔連れてきた罰として膝貸せ」

「別にいいけど…どーするの」

「枕」

「あ〜…はい、どーぞ?」





…ゴロン

…モゾモゾ





…サラサラ

…サラサラ





「ホンモノの猫みたいね、お前(苦笑)」

「俺サマはカッコいいの」

「可愛いよ?」

「…久保ちゃんのアホ」

「はいはい(笑)」






…スリスリ

…くんくん…





「…久保ちゃんの匂いがする」

「俺だからね」

「落ち着く…」

「…イヤじゃないの?だって煙草の匂いっしょ?」

「久保ちゃんの匂いだからいーの」





…サラサラ

…くんくん



「うん、時任の匂いがする」

「どんな?」

「甘い匂い」

「俺は砂糖で出来てねぇぞ」

「落ち着く…」

「そりゃよかった」





…サラサラ

…サラサラ


「…すー…」

「あら、とうとう寝ちゃった」

「…ん………」

「…ホントに綺麗な髪してるなぁ」







手で掬えばさらりと落ちて、指に絡めればはらりと解けて…

撫でれば艶のある髪に光が反射して、鼻を近づければ甘い匂いが心を擽る。


寝息をたてている君の手をとり、自分の手と重ね合わせる。





今日はおやすみ。
また明日、また明日…












end

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