*.Mininovel
□手
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「なぁ久保ちゃん」
「ん?なぁに?」
「手、パーってして」
「…どーしてまた…(しかもパーって…)」
「いいからっ」
「はいはい(苦笑)」
「やっぱ久保ちゃん手デカイ…」
「そりゃ、ねぇ〜」
「なんで久保ちゃんのほうがデカイんだよ」
「だって身長あるし?(笑)」
「う゛っ…」
「でも時任の手、すごく好き」
「そおかぁ〜?」
「指細くて綺麗で、爪の形も整ってて…ほら」
「でも久保ちゃんの指だってキレーじゃん、な?」
「お誉めに預かり光栄です、てね?…まぁ細さじゃ時任に適わないけどね」
「なんか俺折れそうじゃん、ンなに細い細い言われたら(苦笑)」
「…ホントに綺麗な手」
「まぁ左限定だけどな(苦笑)」
「…」
「右手はもう…」
「俺はどっちも好きだよ」
「え…?」
「両方とも時任の手だから…だからどっちも好きだよ」
「久保ちゃん…」
「だから隠さなくていいよ」
優しい言葉を言われて、返す統べを持っていないから…
合わせていた手に、指を絡ませ、この気持ちを伝えるから−。
要らない、なんて言わないで。それはだって君の一部なんだ。
何一つ要らないものなんてないんだよ?捨てないで−…
絡めた指先から体温を感じながら、視線を絡めながら。
繋いだ手から伝わったものは温かくて儚かった…。