アルフレッドがアーサーの家から出て行った。 もう子供じゃないし君の弟でもない。それは要するに、同等の立場を求める言葉。そしてアルフレッドの場合は。 「……………アル…」 これがもうニヶ月近く続いている。それくらい、アーサーの中でアルフレッドは大切な存在だった。初めて出来た弟。小さな時から、ずっと可愛がってきた弟。 「……………」 それだけじゃ、ない。 「……らしくないぜ坊ちゃん?」 「……………」 本当にらしくない。いつもなら、暴言のひとつやふたつをさらりと言い放ち、眉間に皺を寄せて殴り掛かってくるのに。 「……………」 どうして、こいつらは。 無防備なアーサーの背後から、首元に顔をうずめるように強く、抱き締めた。 一瞬びくりと肩を揺らしたアーサーは、いつもの威勢なんて初めからなかったような調子で、何だよと苦笑いしてきた。 それが痛々しくて。でも目を反らす事なんてもう出来なくて、そのまま耳元に唇を寄せた。 「…俺じゃ、駄目かな」 アーサーはただゆっくりと、俺の腕からすり抜けて行った。 気付いてたさ、ただ認めたくなかっただけで …俺じゃ、駄目かな。 アルフレッドの元へ向かう、お前への精一杯の告白。 |