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「ふへえ…疲れたよー。ねえドイツー、お茶にしようよー」


「馬鹿言え、まだ3時間と経っていないではないか」


今日はドイツに俺の家の書庫整理を手伝って貰ってます。初めは兄ちゃんとやる予定だったんだけど、


「はぁあ?んなもんテメーでやってろ。俺はスペインの馬鹿の所に行く予定がある」


って足早に出掛けちゃって…。




「おいイタリア」


「んー?」


「次はこれだ」


うへえ…!!こんな分厚い戦術の本なんか渡されても判んないよお!!


「ヴェー…」


窓の外の空は、こんなにも青くて!!


絶好のパスタ日和だというのに!!



ドイツはムキムキで厳しいです!!



「ヴェー ヴェー」


「うるさいぞイタリア」




仕方なく(いや、手伝ってくれてるのはドイツの方なんだけど)開いてみるけど……ううっ…全然判らない…っ

何か楽しそうなページはないのかなー……


「ふえ?」


ん?今、何か落ちた?ページの間から何…か……


「…あ」


写真だ。俺ちっちゃい。
オーストリアさんちに居た頃かな?

によによ。


あの頃は大変だったけど、でも今思えば楽しかったかなー



落描きしてオーストリアさんに怒られた時も独りぼっちじゃなかったし


倉庫に入れられた時もパスタじゃなかったけどご飯貰えたし


絵描く時もローマじいちゃんみたいに温かくて





「…神聖…ローマ……?」





…はれ…?……俺…なに………



「……………っヴェー…」


「ん?どうしたイタリ……ッ!?なっ!!どっどうしたんだ!?その本、泣く程難しかったか!?」


「ヴェー…違うよお…」





縋り付いた君の腕は


いつもあたたかで





運命というものを
信じたかった




写真の俺の向こうに


君を見付けたよ。




 

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