SS

□SS
35ページ/42ページ



 
 
 
もう慣れた。


お前が俺を見下ろすのも
俺がお前を見上げるのも。





「アーサー、来てくれたの!?」


自分でも柄じゃない事くらい判ってるけど、俺の腰くらいしかない背丈をうんとはしゃがせて、笑うお前は正直可愛い。



「おー、元気にしてたか?」


「してたぞ!!アーサー、早く遊ぼう!!」



初めてできた弟。喧嘩する相手しか居ない俺にとって、こいつだけは守りたいと思える存在。可愛くて、愛おしくて。



「アーサー早く!!」



「おう」



とても大切。





そういえばこの前、嫌な夢をみたんだ。お前が俺から旅立って行く夢。俺、フランシスにも見せた事ないような、顔をぐちゃぐちゃにして泣いてた。

すっげー怖くて、結局どうなったか判らないまま目を覚ましたんだが、何か穴が開いたみたいに、物足りない風が胸を突っ切っていったんだ。





なあ、




お前は何処にも行かないよな?一緒に、居てくれるよな?



こんなの、エゴだって判ってる。判ってるけど、俺にはお前が必要なんだ。お前と出会う前、自分がどうやって息を吸ってたか覚えてない。





「アーサー!!お腹空いたぞ!!」



「ん、」





こんな日が永遠に続けば良いのに



「よーし!!何が食べたい!!」


「うーん……、あ!!あの黒いやつ!!」


「………………。…す、スコーンだな!!判った任せろ!!」


「やったー!!」





続く、よな?







もう、慣れたよ。




 

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ