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特に晴れるでもなく、曇るでもなく。よくある空が、頭上には広がっていた。

今日も私は穴の中。ターコちゃん41号を完成させるべく手を動かしている。


真剣になり過ぎて、忍装束は泥だらけ。こんなだらしない姿、立花先輩が見たら作法委員云々と怒られかねない。

髪も今朝結ったばかりだというのに、埃っぽく乱れている。こんな姿−−



「あぁああああッ!!!!!」



聞き間違える筈のない、忍者には不相応のへにゃりとした声色が優しそうに奇声を発していた。


「やっと見付けたと思ったら大惨事!!!!」


これまた忍者に不相応な金色の髪を輝かせた紫は、私を見付けた途端に手を伸ばしてきた。


「何ですか、タカ丸さん」


「そんな泥だらけじゃ、折角の綺麗な髪が勿体ないよ。髪、結わせて?」



またこの人は。


綺麗な髪なんて、くのいち教室に行けば沢山居るだろう。


「髪を結いたいなら、他をあたって下さい」



私はまだ作業の途中なのだから。やりたい時にやらなくては意味がない。



「ええ〜、綾部君の髪を直してからじゃないと落ち着かないよー」



何なんだこの人は。


落ち着かない?

欝陶しいにも程がある。



「じゃあ終わるまで待っていて下さい」



貴方の為に、急ぐ気なんて更々ないけれど。


それなのに、



「うんっ!」



何の陰りもないその笑顔が憎たらしい。





それだけのことだよ



この気持ちは何でしょう?




 

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