「兄さん、兄さん」 私は貴方が好きです。愛しています。この世の何よりも、私自身よりも。 なのに貴方は何故あんな愚者を構うのですか。愚者が良いならほら。私が貴方の愚者になりましょう。 兄さん、兄さん。 私は貴方の為なら何だって出来るのです。貴方の為ならこの地位だって捨てましょう。土地も民も何も要らない。貴方だけで良いのです。 「うぐ…っ……けほけ…ふ…」 ああ、こんな愚者。 「ベラ…ルーシさ…どうして…」 消えてしまえば良いんだわ。 「どの口がそれを問うの」 「がッ…は!!…は…はぁあは…」 血まみれになっても、その瞳で私を映すというの。私は嫌いよ。他人を信じる奴は嫌いよ。 なのにどうして兄さんは、 こんな奴を構うのですか。 小さいから?弱いから?ならば捨ててしまえば良いわ。使い終えたら消してしまえば良いんだわ。 貴方はそういう人よ。ずっとそうしてきたの。でもきっと。 「ベラルーシさん…っ!!」 これが消えたら悲しむのでしょうね。私を恨むのでしょうね。 「さあ、消えて」 もういっそ、どんな形であっても。貴方が構ってくれるならそれで良いわ。恨みの視線であっても、貴方の瞳に私を映してくれるのならば。それ以上に嬉しい事はないわ。 「っ…ベラルーシさん!!俺はっ」 今更そんな奇麗事、口にしたところで 待っていて下さい、兄さん。 |