BL

泡沫の涙
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俺の好きな人には
好きな人がいて

手に入れたいのに
手に入れられてて


抱いてほしいのに
抱かれてる





放課後のチャイムが鳴り響き。

いつもと同じように生徒会室の扉を開ければ。
そこにはいつもと違う景色があった。



「ども〜。お邪魔してます」



気の抜けた声。

ソファーに横たわり。
眠そうに目を擦る金髪の男。



「ジローか」


そう呼んで、その場の状態に気付いて眉を顰める。



「…お前、此処で何してた」



そこには無数に散らばったティッシュ。使われた形跡のあるコンドーム。

服がはだけ、身体の所々に赤い痣をつけたジローがいた。



「別に。ちょっと遊んでただけ」



ダルそうに下半身を庇いながら身体を起こし。

散乱したものを拾い集める。



「オイ、此処をどこだと思ってやがる」

「生徒会室」



悪びれた様子もなく淡々と言い放ち。

ふと、跡部を見てニヤリと笑う。



「いいじゃん、別に。だっていつも此処で侑ちゃんとヤってんでしょ?」



その笑顔は脅迫にも近い笑みで。顰めた表情をさらに険しくさせる。



「…何言ってやがる」


睨んで、いつも使っている椅子へ腰を下ろす。



「俺がいつ忍足とやったって?ヌルいこと吐かしてる暇があったらとっとと片付けて此処から出ていけ」



机の上に置いてあった資料を手に取り、話は終わったという態度を見せる。


だが、凄んだ様子を見せても当の本人は気にも留めず。

拾ったコンドームをティッシュで包み、悠々とゴミ箱の方へと歩いていく。



バサッと物が落ちる音がして、それから徐にジローが振り返る。


何かを感じて視線を資料から外して見れば。

そこにはニコリと笑うジローの姿。


何だ、と言おうとしたら。
それよりも先に開かれる言葉。




「ねぇ跡部。侑ちゃんが抱いてくれるように、俺を抱いてみない?」





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