BL

愛の糸は螺旋して
1ページ/1ページ




可愛い可愛い俺の鳥。

その美しい羽を
千切って飛ばしたら。

キミは何処まで
逃げるのだろう?






「ジロー」




微風がレースのカーテンを持ち上げて、金の髪を優しく揺らす。


白いシーツに輝いて。
本当に綺麗。




「ジロー?」




欲しい筈の返事はなくて。
あるのは苦しそうな呼吸だけ。


それもその筈。

ジローは今、首を絞められてるから話せない。




「なぁ、苦しい?」




上から覗き込んで聞いてやれば。

ジローは眉を顰めて哀しげに俺を見た。



──パシッ!


「…っ」



乾いた音が部屋に響く。



「何その表情」


その顔もいいけど。
俺はお前の泣き顔が見たいんだ。




「──ッゲホ‥ゲホ…!」



手がはずれた反動で、空気を一気に吸い込んだジローが俺の下で激しく噎せる。


咳で死ぬんじゃないかと思うくらい苦しそうで。

ジローの目から。
涙が零れた。




あぁ、やっぱりだ。


笑った顔も怒った顔も。
どれもみんな好きだけど。

泣いた顔が一番綺麗。



だってそうだろう?


お前は俺の可愛い小鳥。

鳥は鳴かなきゃ鳥じゃない。




「可愛い」



ニコリと笑って、柔らかな髪を撫でる。

苦しげに丸めた背中が。
少しだけ緩んだ。





「なぁ、苦しかった?」



ベッドに腰掛けて優しく聞けば。

ジローは身体を横にした儘、ふるふると首を振った。




「じゃあ、痛かった?」



叩いた頬に触れながら聞けば、ジローは躊躇いがちに頷いた。





「そう。ごめんな」




笑って、頬にキスを落とす。


本当はもっと泣かせたかったけど、喉が潰れては台無しだから。






可愛い可愛い俺の鳥。


綺麗な声で鳴けたなら。

もっと可愛く泣かせてあげる。





†end



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ