俺とお前
□深雪−シンセツ−
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「うわぁ、雪だってばよ!」
朝目が覚め外を見ると、視界全て白く染まり窓の外は見渡す限り白銀の世界になっていた。
深雪−シンセツ−
今日は任務は休み。
いつもだったら昼過ぎまで寝てる俺だけど、寒さのせいか朝早くに目が覚めた。
雪は前に雪の国に行って以来見ていない。
というより、木の葉で雪を見たのは初めてだ。
「いよぉ〜し!雪だるま作戦始動だってばよ!」
俺はうずうずする身体を抑え、顔を洗い歯を磨くと朝飯も食べずに服を着替えて外へと飛び出した。
雪は大分積もっていて、見渡す限り視界一面白、白、白。
はらはら降り積もる雪は大粒で1メートル先を見るのも困難で、俺はたまに人にぶつかりそうになったり、電柱にぶつかりそうになったりした。
…まぁ、落ち着いて歩けばいいことなんだけどな。
さすがに人通りはいつもより少ない。
まぁ、こんな大雪の中を好き好んで外に出て行くのは子供くらいだろうな。
まぁ、俺の場合は修業の一貫ってことで。
俺が向かっているのは、木の葉の里が一望できるいつもの修業場の山。
そこに、里からだって見えるくらいおっきい雪だるまを作るのが今日の目標。
「へっへへ、やってやるってばよ」
30分くらいたっただろうか。
俺は、小さな塊からだんだん大きくなってくる雪玉を楽しくて、夢中で転がして・・
ふと足を止めて一歩離れて見てみると、なんだか・・・
「・・・・・いびつだってばよ。俺の計画じゃまんまるになるはず・・」
おかしい・・・・。
「・・・もぅ一回作ろ」
そしてまた30分後。
「なんでだ〜〜〜!!」
二つ目の雪玉を一つ目の隣に並べてみたが、形は全く同じ。
なんだかめちゃくちゃ悔しくて、俺は一人じたんだを踏む。
「くっそーー」
「ナルト?」
ふいに後ろから俺を呼ぶ声が聞こえ振り返る。
が、誰もいない。
じゃあなくて、雪のせいで見えない。
でもこの声。
「サスケ?」
呼ぶと、不意に真っ白な視界に名の主は現れた。
「何やってんだ?お前」
サスケはいつもの服にダウンを着て、首にマフラー、手には手袋という格好をしていた。
一瞬誰かわかんなかったってばよ・・・
まぁ、この雪の中をいつもの格好でいたら、頭大丈夫ですか?って聞かなきゃならないとこだけど 。
「・・・・・教えてやんね」
雪だるまを作ってるとか答えると、絶対バカにされそうだから。
だがサスケの視線は隣に並んでるいびつな雪の塊に注がれている。
「・・・・・・ガキ」
「うっせーってばよ!お前だって外にいるってことは、雪がうれしくて出てきてんだろ」
「お前と一緒にすんなウスラトンカチ、用事の帰りだ。雪なら前に任務で見てんだろ、なんで今更そんなはしゃいでんだ」
「ま、前は任務で遊んでる暇なんかなかったんだってばよ。サ、サクラちゃんの前ではしゃげねーし・・・」
「あっそ・・・・・なんでこれ、こんないびつな形なんだ?」
サスケは失敗した雪の塊をじっと見る。
う、こいつ気付かなくてもいいことに・・・。
「・・・・・・・・・」
俺が黙っていると、サスケがぼそっと呟く。
「ヘタクソ」
「ぐぬぬぬ・・・」
「じゃあな」
そう言うと、サスケはひゅっと雪の中に消える。
「あ・・・」
さっきまで平気だったのに、何故だか急にこの白い世界に取り残されたような気がした。
きっと周りが見えないせいだ。
「何だよ。一緒に遊んでけっつの・・・・・」