゚+Boys
□雨と君
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しとしとと雨が降る。
ある程度日が長くなってくると昼間の空気は澄んでいて気持ちが良い。
だがそれは天気が良ければ、の話だ。
雨の日の場合は、最悪。
じめじめしている上に暑さが加わってこの上なく気怠い感じになる。
ただでさえこうなのに、近くにこんなんがいたんじゃあ絶対倒れる、っつの。
「なぁブンちゃーん」
いつになく機嫌が良い。
何だか良すぎて気味が悪いくらいだ。
「あ゛ー――?」
「クク…随分機嫌悪いんじゃな」
「ったり前だぜぃ。梅雨は嫌い」
ぶう、と頬を膨らませてそっぽを向いて見せると楽しそうに仁王が笑ってつついてくる。
「可愛えの、ブンちゃん」
「うるっせー」
雨の日はいつもこう。
俺は機嫌がすこぶる悪いっていうのに、こいつは何故か生き生きしてる。
こんなに空気が重いのは、嫌だ。
「なぁ、仁王…」
「ん?」
「…なんでそんな元気なんだよぃ…」
「暑くないから。太陽が出てないから。」
「………変なの」
「変だろうが何だろうがいーんじゃ」
くつくつと相変わらず楽しそうに笑う様は本当に俺の好きな仁王で、ちょっと珍しい仁王だ。
…雨は嫌いだけど、やっぱりこういう日も良いなと思う。
『雨の日は、君の隣で』
「…なぁ、ブンちゃん」
「んー?」
「セックスし…ぶっ!」
「だぁまれ変態!!!ヤらせねぇからな!?」
やっぱり前言撤回。
最低最悪。こいつなんか大嫌いだ。
雨の日なんか、嫌いだ。
(でも、たまにはもしかしたら良いかも知れない…なんて。)
END