拍手

□拍手
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千鶴に「土方さんが勝手場で呼んでいる」と言われ、最近の自分の行動を思い出し、
何かやばいことでもしちまったかなーと考えながら廊下を歩く。

でも最近は夜遊びもしてないし、昼間に酒を飲んだわけでもない。
一体何を言われるんだろうと、内心ビビりながらも土方さんの待つ勝手場の戸を開けた。


「来たか」

「うう…へーすけえ!」

「えっと、これってどういう状況なわけ?」


そこにはいつものように眉間に皺を寄せた土方さんと、涙目で正座をしている小春がいた。
全く状況が理解できねえ…。
土方さんは大きくため息をついてから言った。


「こいつがまた茶菓子をつまみ食いしようとしてた。
 一応お前の小姓扱いになってんだ、これからはちゃんと見張っとけ」

「はーい…」


俺が返事をすると土方さんは勝手場から出て行った。
すると、小春はゆっくり足を伸ばした。長時間正座させられていたらしく、足はしびれているみたいだ。


「お前、どんだけ食い意地はってんだよ。この間も怒られてたじゃねえか」

「だってえ…お腹空いてたんだもん。結局、
 トシに見つかったから未遂に終わって何も食べられなかった…」


小春の腹からぐーっと小さな音が鳴った。
珍しく顔を赤くする小春を、俺は不覚にも可愛いと思った。


「しょうがねえ。一昨日買ってきた饅頭やるよ」

「ほんと!?平助優しい!ウチもう平助のことチビって言わない!」

「…あっそ」


饅頭一つでそんなに対応が変わるか…。
俺が呆れていると、小春は


「ありがとう平助!」


と満面の笑みを浮かべた。
その笑顔を見て、俺は急に顔が熱くなってきた。というか、体温が2度ぐらい上がった気がした。
こういうのを不意打ちっていうんだろう。俺はすっかり彼女の笑顔に見惚れてしまっていた。

君の笑顔にノックアウト

(あ、でも待って。今足が痺れて立てない…!平助だっこ!)
(…痺れがおさまるまで待つって)





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