詩集

□旧詞集【完】
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自己催眠

 
 
 
 
―自分を殺そう―




そう思ったのはいつからだろう
出会った頃の記憶が懐かしい
絶望の中に君が居た
それは何度も語り続けてきた話

その頃の僕は溜め息ばかり
それは君だって同じだったはずだ
綺麗に見えるけど傷だらけだった
心も体も 僕も君も

ここでは生きていけない
ずっとそう思っていた
思いたくなかっただけだった
それは今も変わっていないかもしれない



君は消えていった
今もすぐ側に要るのに
僕は君を失った
行き場を無くした君も
まだ気付かないまま


一番残酷なのは
非道な裏切りだった
笑顔で僕の一番嫌いな
絶望的な美しい景色を見た

受け入れてほしいか
誉めてほしいか
慰めてほしいか
祝福すればいいのか
拍手でもしてあげようか
両手に華とはヘドが出る


それがお前の自慢話かい?
大切なものは一つで十分さ
欲張りから招いた結末を
心底後悔すればいい

こんなはずじゃなかった
思ってたこともこんな言葉も
口にするはずじゃなかった
暴走はもう止まらない

もう 気付いていた
君が気付かせてくれたのさ
出会った事を後悔した
下らない欲望に身を沈めた
平然な顔をしてるけど
本当はまだ誰もが気付いてない
いつかは終りが来る事に

既に終演の幕が下しだす
別れを告げるBGMに乗り
切れた一弦が奏でている

君と重なりあう音はもう聞く事は出来ない



心は深く冷たい 痛くて辛く切ない
暗くて光が見えない
本当は怖くて声も出ない
誰の声も届かなくて



もしかしたら

ここにははじめから
何もなかったのかもしれない

君は初めから幻で
ずっと隣には要なかったのかもしれない
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