short story

□あいしてる。
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獄寺のどこが好き?って聞かれたらそりゃあもちろん全部に決まってんじゃん、って俺は答えるだろう。


銀色の髪。
触るとさらさらで柔らかくて、頭に顔を寄せるとほんのりといい匂いがする髪。
獄寺の髪は、すごくきれいだ。
他の人と全然違う、きっと世界一きれいだと俺は思う。

ふかい碧色の瞳。
まっすぐ見つめられるとドキドキして、そのキラキラな碧色に吸い込まれそう。

見た目だけじゃない、ちょっと(っていうかすごい)短気な性格、でも優しいときはすっごく優しいところ。
この前なんて、俺が腹出して寝てたら布団をこっそりかけてくれたんだぜ!
嬉しくて狸寝入りだったのも忘れて抱きしめたら、顔を真っ赤にして殴られたけど。


獄寺の何かと不器用なところも好き。
皿洗いで皿割られまくったときはちょっぴり困ったけど。
料理だって、ほんとうはすっげえ下手。美味しいなんてもんじゃない。(でもそんなこと獄寺には口が裂けても言えない)
けどめったに料理をしない獄寺が俺のために料理作ってくれたんだな、なんて思うと味は変わらないけどすっげえ美味くなる。


とびっきりの笑顔。
獄寺の笑顔見るのにはすっげぇ時間かかった!
獄寺、ツナにばっかりあんな可愛い笑顔見せちゃって、ツナはいいなあってばかり思ってた。
けどほんとうに獄寺が心から笑ったとこはツナも見たことがないだろう。おそらく、俺だけ。



結局俺は獄寺の全部が好きなんだ。
すべてが愛しい。
もう好きが溢れて零れそう、それぐらい好きで好きで。




「獄寺は、俺のどこが好き?」



そう尋ねると全部嫌いだ、バカ、と返されたけど、それが照れ隠しだってことも今じゃお見通し。
だって、ほら、髪で隠れているけど、ちらちら見える耳が真っ赤だ。


ああもう、そんな素直じゃないとこも好きすぎて、頭の中が好きでいっぱい。





「獄寺、顔真っ赤だけど」
「…っ、うるせ…っ」
「そう隠すなって!…こんな可愛い顔、俺しか見てないから」



そんな愛おしい唇に何度もくちづけをして、もう周りが何も見えないぐらいに。



ゆっくりと唇を離すと獄寺はほんのりと頬を赤らめて、ぼうっと俺の顔を眺めていた。
そんな顔も可愛くて、おでこにもくちづけをした。



「獄寺今何考えてた?」
「何も考えてねーよっ」
「うそ、実は俺のことだろ?」



なんて言うと、一段と頬を赤らめる恋人は、なんて愛おしいのだろうか。



「やばい、俺、獄寺のこと好きすぎておかしくなりそう」
「…てめーは常におかしいっての」
「え、そう?」
「まず俺のどこが好きなんだよ」
「全部」



腕の中にすっぽりと入っている獄寺を見つめてそう言った。
獄寺は、バカ、と呟き軽く俺の頬をつねった。

だって、全部が好きでどうしようもない。
こんなに人を愛したことなんて今までなかった。
…いや、今までの俺の恋愛なんて、ちっぽけなものだ。愛だなんて呼べないくらい。

でもこれは今までにない感情。
獄寺を愛してる、って世界中の人みんなに胸を張っていえる、それぐらい。


これは本当の愛だ。



「……バカなとこ」
「…え、何が?」
「…自分から質問しときやがって…」
「あ、それって」


てめーの好きなとこだ、バカ、と照れながらいう獄寺が。

…やっぱり、愛しくて愛しくてどうしようもない。


「…じゃあもっとバカになれば獄寺はもっと俺を好きなってくれるんだ」
「それ以上バカになれば嫌いになるっての」


ちょっぴり微笑んで言う獄寺が可愛くて、やっぱり俺は。





「獄寺、愛してる」
「……ばーか、俺も、」





愛してる。

その言葉の代わりに獄寺は俺にくちづけをした。



…ああやっぱり、俺は獄寺が愛しくてたまらない。
この感情はきっと、誰にも止められないし、止めることのできない、



大きな愛だ。












end
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