short story

□しあわせなあさ
1ページ/1ページ


目をうっすら開くと、すぐ目の前には愛しい人。
それはお互いの顔がくっつきそうなぐらいの至近距離で、武の睫毛が一本一本見えるほど。
こんなに近くで顔を見るなんてめったにないので、しばらくその寝顔を眺めることにした。




***




任務も昨日は久しぶりに早く切り上げられたので、俺たちは二人で久しぶりに飲みに行った。
久しぶりだからか、話も盛り上がり、酒のペースも上がる。
普段たくさん飲まない武もけっこうな量を飲んだ。
そのおかげで武は潰れ、俺の意識も朦朧としたままコイツをなんとか自力で歩かせてやっとマンションまで着いた。
そこまではいいのだが、部屋に入り武をベッドの上に寝かせたところから記憶はぷっつりとなくなっていた。




それで、今に至る。


俺の体は武にしっかりと抱きしめられていて。
じっくり見ると武の顔もずいぶん大人っぽくなったな、と思う。…そりゃあ10年も経てば当たり前か、もう24にもなったし。

ふと体勢がキツかったので少し体を動かしたら、武の目がうっすらと開いた。
でも半目で間抜け。


「………武?」


その間抜けな顔に少し笑い名前を呼んでみると、武の目はまたゆっくりと閉じていった。
…ちくしょ、無視かよ。
むに、と思いっきり頬をつまんでやった。うーんと唸って目をひらくコイツ。


おはよ、もう朝だぜ?

吐息と同じぐらいの小さな声で囁くと、武は目をより細めて、ぎゅうと俺の髪に顔を埋めてきた。
酒くさいしシャワー浴びたい、なんて思ったけどなんだか心地良くて、カーテンからうっすらと差し込んでくる光も気にせずそのまま寝てしまいそうだった。

たけし?ともう一度呼ぶと目がばっちり合った。
その目はとろんとしていてぼんやりと焦点の合わない、色素の薄い瞳。

なんでだろう、ドキドキする。
なんかこう…いつもの武とは違って、色気があるというか。
こんなコイツを見て、触れて、感じているのは俺だけだ、と思う。
武はとろんとした瞳のまま俺のおでこに軽いキスをして、再び目を閉じた。


さっき朝の挨拶をしたというのに。
胸に顔を埋めて、俺は二度寝することを決めた。






end
────────
竹塚柏さまからの5500キリリクで甘めの2424山獄でした!
大変遅れてしまい申し訳ございません…!そしてこんな拙い文章で……(泣)
書き直しなど全然おっけーですので…!!
リクエストありがとうございました!

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]