大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!
□第10話
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ユキ「ん……」
小さなうめき声と共に、微かな雪のついた睫毛が動く。
ユキ「私…一体…」
気がつくと、雪絵はうつぶせに倒れていた。
ゆっくりと立ち上がり、ふと辺りを見渡すと、そこは崖の下だということに気がついた。
どうやら、逃げている途中で落下してしまったようだ。
ユキ「あんた…」
もう一度、今度は憎しみを込めるような声で呟いた。
雪絵の目線の先には、マントを羽織った小柄な少年、ナルトがいた。
ナル「皆待ってんぞ」
ユキ「そんなの知らないわよ…」
雪絵はうざったそうにそっぽを向くが、ナルトはお構い無しに近づくと、雪絵の身体の下に自分の身体を潜り込ませるようにして、そのまま彼女を背負って立ち上がった。
だが雪絵は、抵抗しなかった。
彼女の足は、さっきつまずいた時に傷ついていた。
どちらにしろ逃げられなかったのである。
──そしてナルトは洞窟の中へと足を踏み入れた。
ユキ「…どうして、どこへ逃げてもいっつもあんたなんかに見つかっちゃうわけ?」
ナル「任務だからな。あんたがどんなに嫌がっても、何処までも追っかけてやる」
ナルトの言葉に、雪絵は力なく、呆れたように笑った。
ユキ「答えになってたない。帰っても、あたしはカメラの前で演技するだけ。他のことはいっさいゴメンだわ」
ナル「ヘヘッ、勝手にすればいいじゃねぇか」
そんな時だった。
かすかに汽笛のような音が聞こえた気がして、ナルトはふと足を止めた。
まさか、こんな場所でそんなものが聞こえてくるはずがなかったが──。
再び、今度ははっきりと汽笛が響くのを耳にすると、ナルトは音の聞こえた後方を振り返った。
ユキ「き…汽車?」
ナル「キシャ?なんだってばよ、キシャって」
雪絵の言葉を受けながら、ナルトはぼんやりと、だんだん近づいてくる光に気がついた。
そして、その光にはなんだか人の影のようなものがかかっている。
ユキ「誰かいるの!?」
大きな汽笛の音の中には、かすかに助けを乞う叫び声が聞こえる。
やがて光はナルトたち全体を覆い、思わず持ち上げた腕で光をさえぎったナルト。
そして、その先に洞窟の幅いっぱいの大きさに向かってくる巨大な何かと、その影を目のあたりにした。