大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!
□第9話
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雪の国の港には、一行が出発した港のような活気がまったく見られなかった。
波止場と桟橋があるだけで、あとは建物がいくつか見えるものの、港にはつきものの物売りも飯屋もまったく見当たらない。
そんななかで、映画スタッフたちは準備されていたトラックとバスに機材を移動するために、すでに船を降りてたち働いていた。
その彼らの頭上に、ひらりと雪が舞い降りる。
そして雪はしだいに勢いを増し、灰色の空からつぎつぎと舞い降りてくる。
カカシは三太夫とともに、そんな外のようすに目をやりながら、船中の食堂に向かった。
食堂には、ユウリたちとマキノ監督、それに助監督が待っていた。
ユウリは何か思い詰めているような表情で、椅子にずっしりと構えていた。
カカシはその様子を見ながら席に腰を下ろすと、三太夫に静かな声で語りかけた。
カカ「三太夫さん…あなた、知っていたんですね?」
「…はい」
カカ「どうしてこんな重要なことを隠していたんです?彼女が雪の国に帰ってきたら、どんな事態になるか予想はできたはずだ」
サン「姫にこの国に帰ってきてもらうためには、こうするしかなかったのです」
三太夫は言いながら、沈痛な面持ちで顔を上げた。
それまで黙って耳を傾けていたナルトが笑って言った。
ナル「三太夫のおっちゃん、あのねえちゃんが風雲姫なのは映画の中の話で、本物のお姫様じゃねえってばよ」
その言葉に、黙り込んでいたユウリが真剣な顔で言った。
「本物のお姫様なんだよ」
ナル「え?」
カカ「ユウリの言う通り…女優、富士風雪絵は仮の名にすぎない。この雪の国のお世継ぎ、風花小雪姫さま──それが彼女の本物の名前だ」
カカシの言葉に、ナルトとサクラが同時に腰を浮かせる。
ナル「ええーっ!?」
サク「うそぉ!?」
カカ「ユウリ、よく気付いたな」
「なんとなく…敵や三太夫の言葉を聞いて思ったんです」
その言葉に、三太夫はさらに目を細くして顔をうつむかせた。